税務調査でいちばん重視されるのは、やはり売上だといえます。

なぜ売上を税務調査のメインとするのか
税務調査がおこなわれる際には、売上がまず重点的に確認されていくといえます。
なぜなら、所得税や法人税のベースとなる利益や消費税に関しても最終的には売上からスタートしていくからです。
売上の計上ミス(計上漏れ・期ズレ・二重計上)は税額への影響が大きいため、調査官のチェックは自然とここに集中するといえます。
また、売上は外部の証拠資料で裏取りしやすいといえるのです。
「銀行入金やカード決済・QR決済、プラットフォーム(EC/予約サイト)」などの第三者記録との突合で客観的に検証しやすいからです。
さらには、業種に限らず横断で通用する手口があるのも売上に関する調査だといえます。
期末の売上計上遅れや現金売上の計上漏れ、返品や値引き処理の恣意性などの共通パターンを短時間で確認できるため効率が良いとされているのです。
売上確認のパターン
たとえば、次の関係を見て税務調査では正しい売上金額を推測していくといえます。
・売上の帳簿と銀行入金明細
入金日ベースで入金や分割入金を見て、売上計上日とズレていないかを確認。
・売上の帳簿とカード・QR・EC管理画面の月次レポート
会計ソフトの売上よりも、決済事業者側の売上を重視していく(手数料控除後の入金=売上計上漏れの温床)。
・請求書や納品書と出荷伝票や受領書など
サービスの提供や商品の完了日と売上計上日が一致しているかを見る。
・日計表・レジジャーナルと現金やレジPOSログ
現金商売は日々のズレ、取消・返品の多用、値引の異常を見ていく。
・粗利率(売上原価との整合性)
仕入や在庫推移から理論上の売上になっているかを逆算する。
・反面調査
大口取引先やプラットフォーム側に売上の照会が行くことも。
なので、売上の調査は社内資料だけに留まらないと考えたほうがいいものです。
売上の確認である期末の計上漏れといえる「12/30に納品完了で請求書は1/5発行日付で売上は翌期計上、」は税務調査ではアウトだといえます。
カードなどの決済手数料控除後での売上計上もまずいものです。
「入金額=売上」でははなく、売上は決済手数料控除前の金額で手数料は費用とすべきだといえます。
このような総額ベースで売上を計上しないと、消費税の売上漏れともなってしまうからです。
売上が合っていれば、調査の半分は終わっている
税務調査は売上の確認から始まり、売上計上の精度や揃えている資料でその後の印象が決まってくるほどだといえます。
計上基準や事実関係、証拠書類の保管が整っていれば、調査官からの質問は少なくなり、税務調査の時間も短くなったりするものです。
「16時までの予定でしたが、もう十分です。」などとお昼の12時頃に終わったりもするといえます。
なので「売上だけは細心の注意を図る。」としていくことが税務調査を気持ちよく終わらせるひとつのコツになると考えていきましょう。