銀行融資の返済期間は短い方がいいは間違い



早く無借金経営に


事業を営んでいるなかで「経営目標」といったようなものを定めたりするかもしれません。

「年商10億円。」

「従業員数1,000人。」

「顧問先10,000社。」というような。

そのようなかでも「無借金経営を目指す。」ということを掲げていたりもするものでしょう。

わたしも何社かの社長から、

「無借金経営を目指している。」というセリフを聞いたこともあったりしたものでした。

それこそ、銀行員時代に、

「うちは無借金経営を目指しているから、もう銀行融資を受けるつもりはない。」などと言われたこともあったといえます。

だからか、こうも考えるのかもしれません。

「銀行融資の返済期間はなるべく短くする。」などと。


想定外を想定して銀行融資を受けるべき


たしかに、銀行融資の返済期間を短くすると無借金経営には近づくといえます。

なぜなら、返済期間が短いほうが銀行融資残高の減るスピードが早くなるからです。

100万円ずつ返済する

50万円ずつ返済する

では、返済額が大きくなる返済期間の短い融資形態のほうが無借金経営には近づくものです。

とはいっても、事業とは「何が起きるのかはわからない。」というリスクは想定しておいたほうがいいといえます。

「同業他社に追い抜かれる。」

「業界外からマーケットを消失させられる。」

「コロナ禍のようなパンデミックで世界が豹変する。」というのは、起こり得ないものだといえるでしょう。

などというような事態が起きたときに、返済期間を短くし、返済額を大きくしていると資金流出に耐えられなくなってしまうといえます。

「入金がないけど、銀行融資の返済は期限通り。」となるのが銀行と結んだ金銭消費貸借契約書に記載されているからです。

なので「事業の想定外も想定して返済額はなるべく抑える。」として資金繰りを考えたほうがいいといえます。


できるだけ長くリスケに 手貸、


「想定外が起きた際には、返済期間の変更を銀行にお願いすればいい。」と考えたりもするかもしれません。

ただ、銀行員としては「返済期間を伸ばして、返済額を減額する。」といったような融資案件は取り組みにくいといえます。

なぜなら「条件変更」という後ろ向きな融資稟議書を書かなければならないからです。

ましてや、条件変更の融資稟議書の作成は、銀行員の仕事上それほど評価がされないものだといえます。

「そんな稟議よりもこっちの案件を早く進めろ。。。」とも言われる仕事だといえるかもしれません。

なので、コロナ禍のような社会全体が想定外のような事態に陥る場合を除いて、返済期間や返済金額は簡単に変更できないと考えたほうが良いといえます。

そして、条件変更をしてしまうと新規の融資は受けられない可能性が高くなってしまいます。

それならば「想定外に備えて。」というスタンスで返済金額を抑えるために銀行融資の返済はなるべく長い期間を取り、資金繰りをおこなうべきです。

「想定外に資金が貯まり、もう銀行融資は絶対に必要ない。」となった際に、繰上返済をしていけばいいといえます。

とはいっても、そのような嬉しい想定外が起きるまでは、日々の資金繰りを考えて融資の返済額を抑え、返済期間を長く取ったほうがいいものです。

「金利は上昇傾向にある。」といっても、

「その金利は事業に関する保険料。」と考えて、日々の資金繰りを重視した返済計画を立てたほうがいいといえます。

この行動が無借金経営に近づく道だと考えていきましょう。