2023年から密かに検討され、実施に可能性を帯びてきた高校生を扶養する親の「扶養控除」を縮小する

高校生の扶養控除縮小の要点
高校生年代の子ども(おおむね16〜18歳) を扶養している親の「扶養控除」の縮小が見直されているといった報道。
扶養控除の見直し案として、
現在(高校生年代の扶養親族)の控除額は、
所得税:38万円
住民税:33万円
に対して、
検討されている縮小案は、
所得税:38万円 → 25万円
住民税:33万円 → 12万円
とする方向と報じられているといえます。
適用開始の時期の案としては、所得税が2026年からで住民税が2027年度からといった内容だといえるのです。
扶養控除縮小の議論はなぜ出てきたのか
扶養控除縮小の背景には、
・児童手当の大幅拡充
・高校授業料の「実質無償化」の拡大
・扶養控除は高所得者ほど得をしやすい
という3点が。あると報道されています
児童手当が高校生まで&所得制限撤廃
2024年10月から児童手当が拡充され、
それまで対象年齢が中学生までだったのものが、 高校生年代(18歳到達後の年度末まで)に延長されました。
さらに、それまであった所得制限が撤廃され(高所得世帯も受給対象となる)、第3子以降は月額3万円など複数の子どもがいる世帯への支援も拡充なる変更がおこなわれました。
高校授業料の「実質無償化」が所得制限なしに
「高等学校等就学支援金」制度などの拡充で、
2025年度:公立高校授業料が所得制限なしで実質無償化の方向(118,800円が支給)
2026年度:私立高校についても、全国平均授業料(年約45.7万円)を上限に、全世帯を対象に実質無償化の方向
といった方針が示されているのです。
「扶養控除は高所得者優遇では。。。」という批判
扶養控除は「所得から差し引く」という仕組みになるので、税率が高い(=所得が高い)ひとほど減税額が大きくなる特徴があるといえます。
一方で児童手当や高校無償化は、今回の拡充で高所得世帯も含めて一律に恩恵を受けられるようになりました。
その結果、政府内や世論から、
「高所得世帯だけ、児童手当+高校無償化+扶養控除で恩恵が手厚すぎるのでは。。。」
という指摘が出ているといった報道がされており、そのバランスを調整する目的として高校生の扶養控除を縮小する案が出ているという構図のようです。
ざっくりとした家計への影響
扶養控除額の減少額は、
所得税が38万円から25万円(マイナス13万円)
住民税が33万円から12万円(マイナス21万万円)
なので、所得税と住民税の合計で34万円分の所得控除が減るイメージだといえます。
たとえば、年収600万円前後の給与を親であるじぶんが貰っている場合、
所得税の増税額は13万円 × 20% = 2.6万円
住民税の増税:21万円 × 10% = 2.1万円
となり、所得税と住民税の合計で子どもひとりあたり年間約4万〜5万円程度の負担が増えるイメージになるものです。
ただ、それまでなかった高校生年代への児童手当は12万円(ひと月1万円)増えているので、
「12万円−5万円で7万円ほど、家計は潤っている。。。」といえるかもしれません。
とはいっても、所得税率が33%や40%を超えるような高所得者の場合には増税額が大きくなり、児童手当の12万円とほぼ相殺されるか、場合によっては負担増になるともいえるものです。
少なくともこの政策案を見ていると、
「少子化対策に国家は本気ではない。」と感じたりする残念な政策だと感じるものです。