融資取引のある銀行へ定期預金をしないほうがいい理由



資金が固定化されて簡単には使えない


銀行員というのは折に触れて融資先の預金口座を見ているものです。

なかでも「返済日付近に入金されるだけ。。。」といった預金取引だと悲しくなるものです。

「預金取引をもっとやってよ。」と。

なので「融資取引行に定期預金として1,000万円入れておく。」というのは、預金取引がほとんどない状態よりは喜ばれるといえます。

とはいっても、定期預金に預け入れをするとその資金は原則として満期までその資金を自由に使うことができません。

「正常な取引で急に大きな支払いが必要となった。」といっても、定期預金の解約を銀行から渋られるからです。

「一旦、融資担当と話してから解約手続きを。。。」などと、預金窓口では足止めされる場合もあったりするといえるからです。

また、融資を受けている銀行で定期預金を解約しようとすると、

「資金繰りが苦しいのではないか。。。」とネガティブに捉えられるリスクもあったりするといえます。

「資金が固定化され、手続きで足止めされ、不要な情報を与えることになる。」といえるので、融資を受けている銀行への定期預金は控えたほうがいいといえるのです。


実質的な融資の負担金利が高くなる


「定期預金にはそこそこの金利が付く。」という時代になってきたとはいえるでしょう。

「定期預金が1%らしいんだけど、どう思います?」などと聞かれる場面も増えてきたといえます。

ただ「定期預金は、いざというときに使いにくい資金。」ということとともに、

「実質的に高いコストを払っている状態」になっているといえるのです。

たとえば「銀行から借入金利年2.0%の1,000万円の融資を受けて、300万円の定期預金を同じ銀行に入れる」という場合。

この場合、表面上は「年2.0%で1,000万円借りている」ように見えるでしょう。

ただ、実際には300万円は定期預金として固定化されているので、自由に使えるお金は700万円程度。

会社としては「1,000万円に対して融資金利を支払っている」ようにみえますが、実際に使える資金は700万円という状態になるといえます。

このときの資金効率で見た金利が、実質金利です。

一例として

借入額:1,000万円

借入金利:年2.0%

支払利息:年20万円

同時に300万円を定期預金

その定期金利:年0.1% → 受取利息は年3,000円程度

とすると、会社が実際に自由に使える資金は700万円に対し、負担している利息は20万円です。

実質的に「20万円 ÷ 700万円 = 約2.86%」という金利負担となる。


低い金利で定期預金をしながら高い金利で借りている構図になるので、資金効率はよくありません。

銀行側は「預金も取れて融資も出せるのでおいしい取引」となりますが、会社側はその分だけ利益を削られるのです。


実質的な担保として見られる


さらに、融資を受けている銀行での定期預金は担保的な意味合いを持たせられることがあるのも注意点だといえます。

明示的には差し入れ担保となっていなくても、

実務上は「この定期預金は融資の見合い担保だから動かさない前提。。。」のような空気になることがあったりするのです。

だからか、経営状態が悪化して返済が滞った場合、銀行は相殺という権利を行使してきたりもするといえます。

「あの会社、返済が滞っているから定期預金を融資の返済に充当しろ。」という指示が銀行内で飛ばされたりもするからです。

普通預金であれば「そっと引き出す。」とできるものですが、定期預金にしているとその選択肢が取れなくなることも想定しておいたほうがいいといえます。


まとめ


「融資を受けている銀行へ定期預金をして銀行評価を上げる。」などとは考えなくていいものです。

「売掛金の入金口座」「給与支払口座」などのように普通預金取引を厚くしていけばいいからです。