マンション管理組合が駐車場を貸した場合には、税金がかかるケースもあるといえます。

自動車の保有割合は都会ほど少ない
東京都の自動車保有率は全国で最も低く、1世帯あたりの自家用乗用車(登録車と軽自動車の合計)の普及台数は0.410台などと言われているものです。
これは全国平均の1.016台を大幅に下回る数字で、東京都内は公共交通機関が非常に発達していることや、駐車場代の高さなどが要因となっているのでしょう。
自動車の保有率は「地方部で高く、都市部で低い」という傾向があり、1世帯あたりの自家用乗用車普及台数でのトップは福井県の1.708台という状態。
たしかに、東京都の都心部に行くと「この街で車を持つと不自由しそうだ。」と感じるほど、道路事情や駐車場事情が悪いところも目に付くといえます。
だからか「マンションの駐車場が埋まらない。」ということが都市部ほど目立つようになって来ているのかもしれません。
そんな「マンション管理組合がマンションの駐車場を貸す。」という際には、税金がかかる場合とそうでない場合があったりするものです。
居住者(組合員)のみに駐車場を貸す場合
マンション管理組合が居住者の組合員に駐車場を賃貸する場合。
「無料で。」ということではなく「月額〇〇円」と駐車場の賃料を受け取っているものでしょう。
学生時代に「分譲マンションを買っても駐車場は別料金なんだ。。。」と驚いたものです。
そんなマンション管理組合は、
「その居住者である区分所有者を構成員とする組合」となるものなので、その組合員との間で行う取引は「収益事業」とみなされないため税金はかからないといえます。
なので「うちのマンションは組合員のみに貸す。」としている場合には、法人税や消費税などの税金の申告や税金の支払いを気にしなくていいのです。
居住者(組合員)以外に駐車場を貸す場合
マンション管理組合が「組合員のみ」に駐車場を貸す場合には、税金の心配をしなくていいといえます。
ただ「自動車保有率の低下もあり、駐車場に空きが目立つようになってきた。」ということもあったりするものでしょう。
そんな際に「組合員以外にも駐車場を貸して、収益を増やそう。」と考えたりもするものかもしれません。
などというように、マンション管理組合が敷地内の駐車場を組合員以外に貸すと「内部利用」とは扱われなくなることになり「収益事業」とみなされて税金がかかる場合があるものです。
「どのようなケースで税金がかかるのか。」といえば、次の3つのケースにわけられるといえます。
①組合員・外部者を区別せず先着順で募集する場合(区分所有者と外部者を同条件で募集するケース)・・・駐車場全体が「駐車場業」として収益事業に該当し、受け取った駐車料は全額法人税の課税対象となる
②空きがある場合のみ外部者に貸し、区分所有者が希望すれば優先的に提供する場合(区分所有者優先で空きがある場合のみ外部に貸すケース)・・・外部に貸す部分のみが収益事業に該当し、その部分だけが法人税の課税対象となる
③来客用など短期間の臨時利用で、継続性がない場合(一時・臨時利用のケース)・・・収益事業に該当せず、法人税はかからない
というように「組合員以外にも駐車場を貸そう。」といった場合には、法人税がかかってくるので注意をしたほうがいいといえます。
さらには、固定資産税が増額されたり、機械式駐車場であれば償却資産税がかかったり、売上規模(1,000万円)によっては消費税もかかってくるものです。
そして「マンション管理組合」は、税法上は「人格のない社団等」として法人扱いになるのです。
なので、個人事業主の所得税の確定申告とは異なり「法人として」法人税の申告をおこなわなければなりません。
マンション管理組合が駐車場を組合員以外に貸すと、賃貸のケースによって税務上の扱いが大きく変わってくるものです。
また「税金の納付書が勝手に送られてくる。」というのではなく、
自ら申告をして税金を支払わなければならないので「知らない間に無申告になってしまった」ということを避けるようにしましょう。
税金関係を意識して「組合員以外にも駐車場を貸し出すか。」と検討したほうがいいといえます。