「終活の一環としてわたしが持っている不動産の名義を子どもに換えよう。」といったことは安易に行わないほうがいいといえます。
不動産取得税
「不動産の名義を換えておくね。」といったことを親から言われたり、子どもに対して伝えたりもするかもしれません。
「終活の一環として、早めに財産の整理を行なっておこう。」というのは、さすがだと思います。
終わりを見据えて動くことは、やったほうがいいと考えていてもなかなかできるものではないでしょうから。
ただ、不動産の名義を変更するということは、
「不動産を受け取った方に税金がかかる。」といったものになるといえます。
その税金のひとつには「不動産取得税。」といった、不動産を取得したひとにかかる税金があるのです。
この場合の取得には「お金を支払った場合でも、お金を支払わない場合でも。」不動産取得税がかかることになるといえます。
その計算式は、
取得した不動産の価格(課税標準額) × 税率
となり、税率は次の通りとなっています。
土地・・・3%
住宅用の家屋・・・3%
住宅用ではない家屋・・・4%
たとえば、5,000万円と評価されている一戸建ての名義変更をした場合には、
5,000万円 × 3% = 150万円
という金額の不動産取得税が名義変更を受けた子どもにかかるといえます。
この不動産取得税は、登記が完了してから半年以内程度の間に納付書が取得したひとの住所地などに送られてくるのです。
贈与税
「不動産の名義を換えておくね。」
ということをご自身が生きている間に行った場合には、贈与税も受け取ったひとにかかってくるといえます。
親が成人の子どもに不動産の名義を換える場合には、次のような税率の贈与税がかかってくるのです。
先程のように、5,000万円の評価となる不動産の名義を子どもに換えた場合には、
5,000万円 × 55% − 640万円 = 2,110万円
の贈与税が子どもにかかってくることになります。
贈与税は受け取った子どもが「取得した年の翌年3月15日まで。」に贈与税の確定申告をして、そこで計算された金額を支払うことになるといえます。
そして、贈与となった場合には「不動産取得税」もかかってくるので、
「贈与税2,110万円と不動産取得税150万円の支払いをする必要がある。」ともなるのです。
なので「終活の一環として不動産の名義を子どもに変える。」とした英断は、その子どもにかなりの税金を支払わせる行為になるといえます。
「家を貰えたんだからいいでしょ。。。」といえるといえば、いえるかもしれませんが。。。
相続税
亡くなったあとの相続として、不動産の名義を子どもが換える場合には相続税がかかるといえます。
「相続があったから親の不動産をじぶんの名義に換えただけなのに。。。」と感じたとしても、相続税がかかってくるのです。
ただ、相続税は贈与税と比べると税率が低いともいえますし、
基礎控除といって「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の金額には相続税がかからないので、親が生きている間に不動産の名義を換えるよりも税金の負担も低いといえるでしょう。
そして、相続での不動産の名義変更には不動産取得税がかからないので、こちらも税負担が低くなるといえます。
なぜなら、生きているひとから不動産の名義変更を受けた場合にかかるのが不動産取得税だからだといえるからです。
たしかに、法定相続人ではない孫などが不動産を相続した場合には不動産取得税がかかる場合もあるものですが、
「子どもに不動産の名義変更を。。。」と考えているのであれば、遺言を作成して相続が発生したあとに名義変更を行なってもらったほうが、受け取る子どもにはお金の負担が少なくなるともいえます。