確定申告では通帳の入金額を売上にしてはいけない

「通帳の入金を追って売上にすればいいんでしょ。。。」としていると、売上が漏れているとして税務調査で指摘されるともいえます。



入金されたときが売上ではないから


事業を営んでいたり副業をしている中では、それほどきちんと経理を行なっていないということもあるかもしれません。

すると「通帳に入金されたものを売り上げにしている。」といったことがあるものでしょう。

なので、確定申告を行なう際には「通帳の入金を拾って売上にすればいい。」と考えていたりもするかもしれません。

ただ、確定申告を行なう際には「入金ベース。」ではなく「取引の発生ベース。」で売上や経費の金額を確定させなければならないのです。

たとえば「売り上げたのが5ヶ月前で入金されたのが5ヶ月後のいま。」という場合には、その5ヶ月前の時点で売上にしていなければなりません。

税理士業なども税理士会の仕事をすると「2月の頭に行った仕事なのに6月終わりに入金される。」といったことがあったりするのです。

また、手形取引があるような事業の場合にも「入金までが遅い。」ということがあったりするものでしょう。

などというようなことも「年内の間に入金」があれば確定申告の際には大きな問題にはならないといえます。

とはいっても、入金が年を越える場合には未入金だったとしても売上に計上していなければ「売上を抜いている。」として税務調査で指摘されてしまうのです。


税金が引かれて入金される場合もあるから


通帳に入金されたものだけど売上にしていると、

「売上の金額が間違っている。。。」ということが起こり得るものです。

たとえば、漫画家の方や作家の方、夜のお仕事の場合には「税金(所得税)を売上代金を支払う側が天引きして振り込む。」というルールになっているといえます。

その天引きされる税金は「税抜き売上代金の10.21%(一回の取引が100万円超となる場合には20.42%)。」となります。

なので、通帳の入金額を売上としてしまうと、

「実際の売上より1割近くも低い金額で確定申告してしまっている。。。」となるのです。

このような場合には「正確に所得税を計算したら天引きされた税率(10.21%)よりも低かった。」となり、脱税とまでは言えない場合もあるとはいえます。

とはいっても、1割ほど売上を低くして確定申告をしてしまうと「消費税が正しく計算されない。」ということが起こり得るものです。

なぜなら、消費税の確定申告をする際には「税金が引かれる前の売上金額を使う。」となるからです。

にも関わらず、税金(所得税)が天引きされたあとの金額で確定申告をしてしまうと「消費税を意図せずに脱税してしまった。。。」ということも起こり得るといえます。

そして、税務調査の際には「所得税はいいですけど、消費税の方は計算し直して修正申告をして欲しい。」と指摘されてしまうことがあるものです。


売上の入金かどうかもわからなくなるから


通帳への入金額をベースに売上を計算してしまうと、

「Uberやメルカリの手数料分を低く売り上げにしている。」といったように手数料の天引に気が付かないで確定申告をしてしまうことも起きてしまうものです。

などというように「税金の天引きがある場合や手数料の天引きがあって金額が正しくない。」ということは、通帳の入金だけを追っていると起きてしまいます。

また「そもそも何の入金だったか覚えていない。。。」ということもあったりするかもしれません。

「何の入金だったのかわからないから売上にしておく。」

「何の入金だったのかわからないから売上にはしないでおく。」ということも起きてしまうでしょう。

税務調査対応の相談を受けているなかでも、

「しまった。。。この通帳の分を売上に計上していなかった。」ということが判明する場合は意外にあったりするものです。

そして、漏れていた売上に関しては税務調査でほぼ必ず指摘されてしまうといえます。

なので、確定申告を見越して「売上金額は正確に把握しておく。」ということを行なっておきましょう。

その際には「入金ベースではなく取引発生ベース(仕事が終わったとき)。」

「税金や手数料が天引きされる前の金額。」

「ひとつも漏れなく。」といったことを確認していくべきだといえます。