不動産を売ったときには節税ができない

「不動産を売ったから事業所得を赤字にして節税。。。」といった手は使えないといえます。



譲渡所得は総合課税


資産を売却して儲かったとき。

その儲けとなる利益(所得)には、譲渡所得として税金がかかってくるといえます。

そんな譲渡所得は、所有期間が5年を超えている場合で長期譲渡所得となり、所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得となるものです。

総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、

短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になるといえます。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用)-50万円

そして、かかってくる税金の税率は、給与所得や事業所得などの他の所得を合わせて確定した総合課税と呼ばれるもの。

なので、このようなことを考えたりもするかもしれません。

「不動産を売却して所得が超絶出たから、事業所得を赤字にして所得を下げて節税しよう。」といったような。


不動産の譲渡所得は税率が決まっている


「不動産を売却したから、事業所得で節税したい。。。」といったことは、折に触れて相談されたりもするものです。

「相談される。。。」というよりも、居酒屋トークだといえるかもしれません。

そんな資産を売った場合に課税されることになる譲渡所得は、カテゴリーがあるのです。

「土地建物や株式等を売った場合の譲渡所得」と、

「土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得」の2種類にカテゴライズされているといえます。

そして「土地建物や株式等を売った場合の譲渡所得」は、分離課税という他の所得と区分して税率がそもそも決まっている税金の計算方法。

なので「総合課税ではないから事業所得の赤字と相殺して節税する。」という奥の手は使えないといえます。


土地や建物を売った場合の譲渡所得


「別個に計算するので、節税なんて効かない。」ともいえる土地や建物の不動産を売約した場合の譲渡所得。

税率が決まっているといえるからです。

「買ってからお正月を5回迎えた。」場合には、長期譲渡所得として、所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%。

「買ってからまだお正月を5回迎えていない。」場合には、短期譲渡所得として所得税30.63%と住民税9%の合計39.63%。

たしかに「不動産といっても自宅を売却した。」という場合には、

「儲けから3,000万円控除できる。」といった特別控除や所有期間が10年を超えると税率がさらに低くなる特例もあったりするといえます。

とはいっても「不動産を売却した場合には分類して決まった税率で計算する。」となるので、事業所得を赤字にしても相殺ができない制度になっているのです。