店舗展開は1事業年度に1店舗にすることが幹の太い経営になる

店舗展開は1事業年度に1店舗までにすべきです。



店舗展開をしても利益は2倍にならない


店舗を構える事業を営んでいると、

「1店舗目の業績が好調になってきたので、2店舗目の出店を。」ということを考えることもあるでしょう。

たしかに、1店舗目のノウハウを活かしいて店舗展開をしていくことで、より事業が強化されていくこともあります。

とはいっても、1店舗のみの状態から2店舗目を出店したからといって、1店舗のみの状態と比べて利益が2倍に増えるかというと、そうとはいえないのが事業の難しいところ。

なぜなら、1店舗目のみのときと同じような収益構造となるとは限らないからです。

たとえば、2店舗目の家賃比率が高くなることもあるでしょうし、広告宣伝費が膨らむというような経費構造が変わるということもあるでしょう。

そして、複数店舗となったことで、

「社長であるじぶん自身の100%の力を各店舗に注ぐことができない。」ということもあるからです。

1店舗のみの経営であったときには、その店舗の隅々までじぶんの目が行き届いていたので、完璧な店舗運営ができていたといえます。

それが、複数店舗となると「じぶん自身の目がすべてに行き届く。」ということは難しくなります。

「うちには優秀な店長候補がいる。」

といっても、社長であるじぶん自身とはやはり経験値や見える世界が異なるものです。

また、複数店舗展開となったことで、1店舗目の収益も1店舗のみの経営だった頃よりは、悪化をすることになります。

このように、じぶんの目が行き届かない部分が増えたことで、

「各店舗の利益は減り、店舗を2倍に増やしたからといっても利益がそのまま2倍になる。」ということは少ないといえます。


店舗展開は1事業年度に1店舗にすべき


店舗展開がうまくいっていると、1事業年度のなかで複数の店舗展開を考えることもあるでしょう。

しかし、店舗展開は1事業年度に1店舗の展開に留めるべきです。

たしかに、事業というのは陣取り合戦の様相もあるので、

「うまくいっている事業であれば、早く市場を取りにいくべきだ。」といえます。

とはいっても、1事業年度に複数店舗を出店する計画だと、

「人材の基準も甘くなり、立地の選定も気づかないうちに妥協している。」こともあるものです。

また、始めのうちはうまくいっていた事業も、時間の経過とともに競合他社に真似され、競争優位性も減っていくことになります。

「店舗展開を早めて、一気に市場を取りにいく。」

ということが必要な場面もなくはありませんが、

「中小企業であればあるほど、焦らず店舗展開は1事業年度に1店舗までにする。」

ということで、資金繰りや人材育成の問題に、社長であるじぶん自身がじっくりと取り組める幹の太い経営になるといえるでしょう。