ジャニーズ社のような非上場会社の株はそれほど簡単に手放せない

「まずは100%保有する株を手放してから。。。」などとある会社について言われたりもするものですが、非上場会社の株を手放すのはそれほど簡単ではないといえます。



非上場会社の株には売買制限が掛かっていることが多い


「会社は株主のもの。」だといっても、

日本の多くの会社の株主は、社長(代表取締役)が100%保有しているという場合がほとんどだといえるでしょう。

なので、オーナー社長と言われるように「所有と経営が分離されていない。」といったことが非上場会社には常識だといえるのです。

そんな非上場の会社の株は「株式の譲渡制限」という規定が会社の憲法ともいえる定款に記載されていたりもするものです。

当会社の発行する株式の譲渡による取得については、株主総会の承認を受けなければならない。
当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合は株主総会の承認があったものとみなす。

このような「株式の譲渡制限。」があることによって知らないうちに会社を乗っ取られる心配がなく事業を営めるともいえます。

そして、株主総会というのもオーナー社長が実権を握っているので、売買は社長の意向で決められるのです。

などというような規定が定款に定められているので、

「会社を乗っ取られることなく、安心して事業を営むことができる。」ともいえるのが株式の譲渡制限を定款に規定する効果でしょう。


非上場会社にも株価がある


「あの会社の株を持っていたらかなりの含み益が出ている。」

「インデックス型の投資信託を持っているけど、好調だ。」

「テンバガー(株価が10倍になること)となる株を探している。」

などというように、上場している会社には株価が公開されておりその株式の売買も証券市場を通じてわりと簡単にできるといえるかもしれません。

とはいっても、会社の株に株価がついているのは上場会社だけはありません。

非上場会社だったとしても、その株には株価がついているのです。

「うちの会社に株価がついているなんて知らなかった。」というのはあるものかもしれませんが、非上場会社にも株価を決める以下のような評価方法があるといえます。

大会社・・・類似業種比準価額方式
中会社・・・類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用
小会社・・・純資産価額方式

といったように会社の規模に応じた評価方法によって、株価を計算することになるのです。

そんな株価は、そこそこ乱暴に説明をすると「貸借対照表の純資産の金額。」が株価になるともいえるかもしれません。

なので、貸借対照表の純資産の金額が100億円にもなっていると、その会社の株価も100億円になると考えられるともいえます。


タダで株を渡したら税金がかかる


だからか「株を手放せばいいじゃないですか。。。」と非上場会社の株主である社長に言ったとしても、それは結構難しいといえます。

株価が「100億円。」と評価をされている会社であれば、それの株は100億円以上で売買取引をしなければならないのです。

だからか、非上場会社だといっても「そうそう簡単に売買ができない。」ともいえるかもしれません。

また、非上場会社だからと「その株をタダでひとに渡してしまう」と貰った方はラッキーだと感じたとしても、その株価との差額が贈与を受けたということになり贈与税が課税されるといえます。

その贈与税は、株価が100億円であれば「約55億円の贈与税を税務署に納めなければならない。」といえるほど負担がおおきいものです。

そして、他の会社にタダで渡した場合には「タダで渡した社長に譲渡所得税がかかり、タダで貰った会社には法人税がかかる。」といえるのです。

なので、株価が大きい会社の株は、

「不祥事を起こしたんだからその株を手放せ。」といっても、そもそも譲渡制限があり、株価が高ければ買い手を見つける難易度が高いといえます。

さらには、事業承継税制などを申請していたら株を手放すのは悪手だといえるでしょう。