「マル秘の顧客情報だから。」という理由で書類の提示を拒否できるのか

「マル秘の顧客情報。」だといっても、その提示を拒否することは難しいといえます。



税務調査はあらゆる書類を調べることを目的とする


税務調査のひとつの重要な局面である実地調査。

この実地調査は税務署から調査官がやって来て、

「調査官と丁々発止の白熱した議論のやり取りをする。」ということは、ほとんどありません。

では「税務調査の実地調査は何をメインとするのか。」といえば、

「税務申告に関するあらゆる原始書類を確認する。」ということをメインとして行なう場になります。

なので、税務調査に来訪する調査官は、

「帳簿などの書類を確認するために来訪する。」ということが、大きな目的だといえます。


書類には顧客情報などのマル秘情報が含まれている


税務調査は「書類の確認をメインとする場。」といっても、

その書類には「重要な顧客情報などの個人情報が多分に含まれている。」ということもあるものでしょう。

とはいっても、顧客情報などのマル秘情報なども税務調査における「質問検査権が及ぶ対象資料」となります。

だからこそ「守秘義務があるから一部の書類提示を拒否したい。」と考えることもあるかもしれません。

税務調査で調べられることになるこのような書類は、納税者であるじぶん自身のものであるため、

「税務調査をきっかけにこのマル秘情報が流出してしまうかもしれない。」と感じることもあるでしょう。

ただ、顧客の個人情報なども事業に関連性のある情報となるので、

税務調査時に「提示を拒否できるのか。」といえば「質問検査権の対象となり、拒否することは難しい。」といえるでしょう。


マル秘の顧客情報などを提示する際には厳重に管理する


事業を営んでいると様々な個人情報を保有することになるものです。

また「多くの個人情報を保有しなければ商売とならない。」というような事業も少なくないといえます。

そして「個人情報保護法の観点からむやみに顧客情報を第三者に教えてはいけない時代になっている。」ともいえます。

たしかに、帳簿書類に関してはそれほど顧客情報が多く含まれているということは少ないでしょう。

とはいっても、税務調査においては、

「売上の事実確認のため。」ということを理由として、日々の売上記録や売上ジャーナルなどの確認が行われるのが通常です。

この際に「これは重要な顧客情報だから提示はできない。」となってしまうと、

「適正な税務申告が行われているかどうかが調査できない。」ことになり、他の納税者との間に不公平が生じてしまうもの。

なので「課税の公平性」を保つためには、このような顧客情報も必要に応じて税務調査時には提示しなければなりません。

「調査官が税務調査の資料を紛失することは絶対にないのか。」といえば「絶対とは言い切れない。」ということもあるかもしれません。

だからこそ、顧客情報などの第三者に漏れてはいけないマル秘情報を提示する際には、紛失や情報漏えいが起こらないように厳重に管理しながら提示を行なっていきましょう。

さらに「この情報は外部に漏れてはいけない情報だ。」ということも、提示する際には調査官に伝えていくべきです。

「マル秘情報だから提示しない。」ということは難しいですが、

「情報漏えいが起こらないように徹底管理しながら提示する。」ということは、税務調査において大切な対応だといえます。