令和4年度税制改正大綱の発表があったので、税務調査関連を中心に挙げてみます。
電子帳簿保存法のデータ保存のみ規定は経過措置が取られることに
2022年1月からはメールなどで受け取ったPDFデータは、電子データの保存のみとなる予定でした。
なので、税務調査の際にPCの閲覧を調査官に見せる必要があることが懸念されていました。
ところが、今回の税制改正大綱により2023年12月31日まで2年間は、紙でも保存が可能となりました。
紙での保存ができる要件としては、
税務署長がやむを得ない事情があると認める。
受け取ったPDFなどのデータを紙に印刷して提出することが可能な場合。
には、いままで通り紙での保存が可能となりました。
また、この適用にあたっては税務署等への手続きが不要となっています。
「やむを得ない事情。」となっていますが、個人事業者や中小企業はほぼすべて当てはまると考えていいでしょう。
仮装・隠蔽や無申告者への課税強化(所得税の話)
収入金額(売上)が300万円以上の場合に、虚偽の確定申告やそもそも確定申告をしていない無申告者の場合。
もし、計上していない簿外経費があったとしても、
帳簿などからその事実が把握できない。
税務署の反面調査でもその存在が見つけられない。
という場合には、その計上していない経費を後出ししても経費にすることはできないということになります。
令和5年(2023年)分以後の確定申告より適用。
仮装・隠蔽や無申告者への課税強化(法人税の話)
虚偽の確定申告やそもそも確定申告をしていない無申告の法人の場合。
もし、計上していない簿外経費があったとしても、
帳簿などからその事実が把握できない。
税務署の反面調査でもその存在が見つけられない。
という場合には、その計上していない経費を後出ししても経費にすることはできないということになります。
令和5年(2023年)分1月1日以降開始の事業年度より適用。
過少申告加算税、無申告加算税の課税強化
税務調査などで、調査官から帳簿の提示を求められたにも関わらず提示しない場合や、売上金額が1/2以上記載されていない場合。
その税金(所得税、法人税、消費税など)に10%を上乗せになる。
税務調査などで、調査官から帳簿の提示を求められたにも関わらず提示しない場合や、売上金額が1/3以上記載されていない場合。
その税金(所得税、法人税、消費税など)に5%を上乗せになる。
令和6年(2024年)1月1日以降に法定申告期限が到来する国税から適用となります。
減価償却資産の貸付適用除外
減価償却資産のうち貸付けに要するものは、経費計上の特例が受けられなくなりました。
少額減価償却資産の一括経費計上において貸付用のものは除外
取得価額10万円未満の減価償却資産で、貸付けに回すものは一括経費計上が不可に。
一括償却資産の一括経費計上において貸付用のものは除外
取得価額20万円未満の減価償却資産のうち、貸付けに回すものは3年間での一括償却資産の計上が不可に。
中小企業者の少額減価償却資産損金算入特例の一括経費計上において貸付用のものは除外
青色申告の中小企業者等が10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、貸付けに回すものは一括経費計上が不可に。
とはいっても、資産の貸付けなどを行なう事業者は従来通りこれらの償却は可能となっています。
これらは「減価償却費を一括で計上しながらドローンや建設現場の足場をレンタルする。」
という節税が横行していたことを封じるために取られた措置だといえます。
適用時期は、大綱では確認できませんでした。
「税制改正大綱を確認しておくべきか。」といえば、
「それほどでも。。。」ということになりますが、頭の片隅にでも入れておくのも良いかなぁと。