
お客様の対象を絞って強みを出せという亡霊
「強みを前に出せ!」
「やりたくない仕事は避けろ!」
「顧客対象を絞れ!」といったことは、独立後の営業に関するセミナーや書籍に書いてあったりするものでしょう。
「せっかく独立したんだから、やりたくない仕事は避けるべき。」
「じぶんなりの色を打ち出さなければ生き残れない。」
「だって、何のために独立したのさ。。。」という独立を先におこなった様々な先輩たちから聞こえてくる声かもしれません。
そして、その先輩の方々は「顧客対象を絞っているからうまくいっている(ように見える)」とも感じたりもするものかもしれません。
「やっぱり、まずは市場を絞ってお客様に訴えかけられる強みを表に出さなければならないのか。。。」と独立に向けた決意とも絶望ともいえるような感覚を持ったりもするものでしょう。
独立直後にお客様の対象を絞ってはいけない
「ラーメンを食べたいからラーメン屋に行く。」
「歯が痛いから歯科医に行く。」
「筋肉を鍛えたいからジムに行く。」というように、欲望といった目的を達成するために目的地はある程度絞っていくものでしょう。
「ラーメンを食べに回転寿司屋に行く。」といったことは、そもそも選択肢には挙がらないといえるかもしれません(回転寿司屋のラーメンも意外においしいけど)。
「ラーメンを食べたいからラーメン屋に行く」が、多くのひとの選択肢になるものです。
なので、まずは「何屋さんなのか。。。」といったことだけがお客様から理解できていれば絞ることは十分だといえます。
わたしであれば「税理士屋さん。」ということがわかれば、ひとまず絞ることは完了だといえるのです。
「あぁ、よくわかっていないけど税理士さんなのね。。。」ということだけで、独立直後はいいのです。
「税理士屋さん」のあとに、
「資金調達に特化している、税務調査に特化している、相続関連に特化している。」といったことが絞れれば、同業他社との色の違いがお客様からもわかりやすくなるといえます。
ただ「どこにお客様がいるかわからない。」というのが、独立直後の大きな感想だといえるのです。
「じぶんは相続関連に特化しているから、いまお話をいただいた税務調査の対応はおこなわない。」としていける資金力があれば別ですが、税務調査の仕事が来たのであればこだわらずにチャレンジしてみるといいといえます。
「意外にじぶんには向いているかも。」となったりするでしょうし、
「時間はあるけど仕事がない。。。」という状態よりは、仕事を受けて経験値を磨いていくほうが心も健康になったりするからです。
その経験値も勤めていた頃と独立したあとでは、
「同じ仕事のように見えるけど、経験値として得られる景色がレベル違い。」と感じるほど世界は異なって見えるといえます。
独立という経験をしたあとにわかってから絞ればいい
独立前の頭の中の世界と、独立後の身体で感じる世界は全く違うものだったりもするものです。
「ここにニーズがあると思っていたけど、世の中的にはこっちだったんだ。。。」というのは、独立をして初めて気がつくことだったりもするからです。
そんな際に「ホントはこっちに絞りたかったんだけど。。。」と突き進んでいって、目の前のお客様からのニーズを無視してしまうのはもったいないといえます。
「もしかするとじぶんが絞りたかった市場は満員御礼で、いま受けた仕事の市場はほとんど誰も手を付けていないブルーオーシャン。」といったことはあったりするのです。
そして、そのようなニーズは独立後の試行錯誤の中からしか感じられず、独立前の未経験の状態からは全く見えてこないといえます。
たしかに「ずっと温めていたビジネスプランでお客様からのニーズを勝ち取っていった。」というサクセスストーリーはかっこいいものです。
とはいっても、世の中はやってみないとわからないことが少なくないといえます。
などということがあるので、独立直後は「絞りすぎず、じぶんの業界の仕事っぽいもの。」であればチャレンジしてみるといいかもしれません。
そのなかで「ここで絞れそう」という新たなものが見えてくるといえますし、
「やっぱり独立前から温めていた事業計画が正しかった。」と確信を持てればそれは幸せなことだったりもするからです。
「せっかく独立をしたんだから、ひとまずやってみる。」くらいで進んでいくと、どこかでうまくお客様の対象を絞れていくタイミングが来たりするといえます。