従業員に対する人件費も税務調査で確認される

経費のなかでも大きな割合を占める人件費。

この人件費も不正なことが行われていないかどうか、税務調査で確認されることになります。



人件費については複合的にチェックされる


経費のなかでも、とりわけ大きな割合を占めるのが人件費になります。

この人件費というのは、利益調整に使われやすいといったことがあります。

たとえば、「本来は存在しない従業員に給与を渡したことにして利益を減らす。」

「退職金を支給していない従業員に、退職金を支給したことにして利益を減らす。」

などといったように、人件費は不正経費の温床となりやすいという認識で、税務調査で考えられています。

人件費のなかでも税務調査で問題となりやすいものは、架空人件費や決算賞与、退職金、そして現物給与といったものがあります。

架空人件費のチェックとしては、従業員名簿や出勤簿、さら住民税の決定通知書などで確認されます。

これらの資料を複合的に確認することで、架空人件費というのは判明しやすいものといえます。

また、決算賞与に関しては、従業員へ支給額の通知状況や実際の支払い、賞与明細書などで確認されることになります。

退職金については、退職の実態や退職金規定に照らし合わせて適正な金額となっているかどうか、金額が妥当なものといえるのかといったことが、税務調査において確認されることになります。


人件費は消費税や源泉所得税など影響が多岐に渡る


人件費が税務調査において問題となると、その影響は多岐に渡ることになります。

その影響は給与に課税される源泉所得税だけではなく、消費税や法人の追徴課税となる場合もあります。

特に福利厚生費としていたものを「給与である」と指摘を受けてしまうと、源泉所得税と消費税で二重に課税されてしまいます。

現物給与に関しても、通勤費の妥当性や昼食代などの金額は、税務調査が入る前には改めてもう一度確認をしたほうがいいでしょう。

源泉所得税の徴収状況に関しても細かく確認されるというのが、人件費における税務調査の特徴ともいえます。

たとえば、正社員は適正に源泉所得税を徴収できていても、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用の人たちへの「源泉所得税の徴収漏れ」がないか、といったことも確認されます。

また、給与所得者の扶養控除申告書の提出がない場合には、通常の源泉所得税の税率よりも高い乙欄での徴収となるものですが、この当たりの手続きに関しても確認されることがあります。

税務調査においては、人件費について必ず確認されることになります。

なので、支給状況の再確認や書類が完備できているのかといったことは、改めて確認してみるべきでしょう。