事務所移転をして所轄税務署が変わっても税務調査はなくならない

事務所移転をすると、税務調査がなくなる。

かつてはそのようなことがありましたが、いまはなくなりました。



移転をすると税務調査がなくなった


「特に悪いことをしているわけではないけど、税務調査がこわい。」

というようなことはありますよね。

事業をしているといっても、税務署の調査官と「切った張った」の交渉を行う場面はほとんど無いでしょう。

その切った張ったやり取りがある場面があるとすれば、それが税務調査だといえます。

なので、「税務調査なんてできれば逃れたい。」

「何を言われるかわからないし、事業に集中したいから。」

と考える方もいることでしょう。

そんなときには「税務署の管轄を超えての」事務所移転などをすることで、納税地が変わり税務調査がなくなるということがありました。

たとえば、税務署から「税務調査の連絡が入ったとき」すでに、事務所移転などをしていた場合には、

「管轄が変わってしまったので、先日の税務調査は一旦取り辞めにします。」

ということがかつてはあったのです。

このようなことを利用して、確定申告書を提出したあとに、

「所轄の税務署が変わるような事務所移転などをする。」

ことで、税務調査を逃れられるという手法がありました。


いまは移転をしても税務調査はなくならない


「所轄の税務署を超える移転などをして納税地の変更をすると税務調査がなくなる。」

というのは、令和3年7月1日以降は国税通則法(第74条の2)という税法の改正でなくなりました。

 法人税等(法人税、地方法人税又は消費税をいう。以下この項において同じ。)についての調査通知(第六十五条第五項(過少申告加算税)に規定する調査通知をいう。以下この項において同じ。)があつた後にその納税地に異動があつた場合において、その異動前の納税地(以下この項において「旧納税地」という。)を所轄する国税局長又は税務署長が必要があると認めるときは、旧納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員は、その異動後の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員に代わり、当該法人税等に関する調査(当該調査通知に係るものに限る。)に係る第一項第二号又は第三号に定める者に対し、同項の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求をすることができる。この場合において、前項の規定の適用については、同項中「あつては法人の納税地」とあるのは「あつては法人の旧納税地(次項に規定する旧納税地をいう。以下この項において同じ。)」と、「同項第二号ロ」とあるのは「第一項第二号ロ」と、「連結親法人の納税地」とあるのは「連結親法人の旧納税地」と、「、納税地」とあるのは「、旧納税地」と、「事業者の納税地」とあるのは「事業者の旧納税地」と、「(納税地」とあるのは「(旧納税地」とする。

国税通則法第七十四条の二より

いままでは「管轄がかわったから、辞めざるを得ないかぁ。」というのが、通常の税務調査の流れとなっていました。

これが今回の改正で、「管轄が変わる移転をしても旧所轄税務署の調査官が新しい納税地に税務調査にやってくる。」

ということが可能となったのです。

なので「移転をして税務調査を逃れよう。」という手法は使えなくなったといえます。


税務調査は単なる行政指導


税務調査というと「高圧的な態度をとる税務署の調査官に、根掘り葉掘り取り調べをされる。」

ということを想像される方もいるでしょう。

たしかに、税務署の調査官には高圧的な態度で「税務調査を犯罪捜査。」と勘違いをしているかのように、税務調査を行う調査官もいます。

とはいっても、ほとんどの調査官はそのような態度を取ることはありません。

むしろ、紳士的な態度で日常業務の一環というような感覚で税務調査をおこないます。

そして、その税務調査は「犯罪捜査」といったものではなく、「行政指導」というものです。

その行政指導は「適正な納税を促すもの」といったもの。

なので、税務調査で心身ともに必要以上に疲弊するということもありません。

調査官の通常業務の一環である税務調査に紳士に対応し、もし間違いがあった場合には「今後その間違いを起こさないように」気をつければいいだけのことです。

そのような税務調査を逃れるために「わざわざ」移転をするということは、いまは意味がなくなりましたし、税務調査は行政指導の一環として心穏やかに受け入れていきましょう。

間違いがあったとしても、逮捕されるということはなく、普段の税務上の不安点も税務調査で解消され勉強になることもありますから。