「金利がもったいないから銀行融資は避ける」という考え方は社長としてキケン

「金利負担が増えるくらいなら、銀行融資は受けない」といった考え方は避けるべきだといえます。


金利は「コスト」だけど、銀行融資は「保険」でもある


銀行融資を受ける際に負担することになる金利はコストだといえるでしょう。

なぜなら、銀行融資を受けなければ負担をする必要がないといえるからです。

ただ、コストになるので経費としての節税効果もあるといえます。

そんな、銀行融資の本質は「倒産確率を下げる保険。」として機能するものだといえるかもしれません。

たとえば、このような経営状況となった場合。

「売上は好調だけど、売上代金の入金が2〜3か月後。」

「仕入れ・外注費・人件費は、売上代金が入金されるよりも先に支払う。」

「などというような状況で突発の事故・設備の故障・売上代金の回収遅延が発生。」

などというときに、金利を嫌がり自己資金だけで営んでいると資金繰りが行き詰まってしまうものです。

「金利を負担して余裕資金を持つくらいなら。。。」というのが黒字倒産の確率を上げてしまうのです。

事業とは利益が出ていても、資金が尽きてしまうとそこで終わりともなってしまうもの。

なので、金利は「支払い損」というものではなく、倒産しないための保険料と考えて銀行融資を受け資金繰りに余裕を持たせるべきだといえます。


「借りない経営」より「借りられる経営」


社長が資金繰りの戦略を練る際に本当に持つべき自信は、

「銀行融資を受けずに事業を回せる」といったことではなく「いつでも銀行融資が受けられる状態にする」というものだといえます。

「景気が悪いとき、業界が縮んでいるとき、予期せぬトラブルが起きたとき。」という状態であったとしても、銀行から融資を受けられる状態をつくっていくべきなのです。

銀行は「困っている会社にほど融資をしてくれる。」商売ではなく、困る前に融資を実行しておきたい商売なのです。

だからこそ、

「決算書が黒字で資金繰りに余裕があるときに融資を受ける。」

「約定通りの返済をおこない返済実績をつくり、信用を積んでいく。」

「信用保証協会の枠は余らせておく。」といったことができていると、資金繰りに困りにくくなるといえます。

にも関わらず「金利が嫌だ」といって銀行融資を拒んでいると「いざというとき。」に融資をしてくれる銀行は見つからないといえます。


銀行融資は「時間を買うチケット」


銀行融資を受けるというのは「事業の保険」であり、

「いざというときに備えた信用を積んでいく行為。」だといえるのです。

そして、事業においては「お金」よりも「時間」が最も貴重な資源だということもあったりするものでしょう。

たとえば、利益をコツコツ貯めてから1,000万円の新規設備を導入しようとすれば、3年かかるかもしれません。

それが、いますぐ融資を受けて設備を導入すれば、その3年間で得られたはずの「利益」が先に手に入ると考えられるものです。

ましてや、事業とは常に競争にさらされているもの。

その競争に巻き込まれないためには「早く市場に入り、早くシェアを取り、早く売り抜ける。」といった時間が大切だったりするといえます。

なので「支払う金利」よりも「投資によって得られる利益」がわずかでも上回るなら、それは「損」ではなく「時間を買った投資」なのです。

わずかな金利を惜しんでキャッシュを薄くしておくことは、時間からも嫌われていくといえるかもしれません。


まとめ


金利を嫌う社長ほど、事業の自由度を失いやすいといえるので「銀行融資は悪ではなく、社長の選択肢を増やす武器。」だと考えていきましょう。