「一旦贈与を受けた財産を返した。」
「贈与された財産がやっぱり要らなくなった。」
という場合にも、贈与税が課税されることがあるので贈与税の申告が必要になるといえます。
財産を一旦譲り受けたら贈与となる
親や祖父母などから財産を譲り受けることとなる「贈与。」
その贈与の対象となる財産は、広範囲に渡っており主に以下のようなものが該当することになります。
- 土地
- 土地の上に存する権利(地上権や借地権など)
- 家屋(自宅や工場、駐車場など)
- 事業用の財産(機械装置や売掛金、貸付金など)
- 有価証券(株式や社債、非上場の同族会社株式など)
- 現金・預貯金
- 家庭用の財産
- その他の財産(車や特許権など)
なので、土地や現金などの目に見える財産を譲り受けた場合にも「贈与」となりますし、特許権のような目には見えない無形の財産を譲り受けた場合だったとしても「贈与」となるのです。
贈与契約を解除することができるのは例外的なものだけ
「親から500万円の現金を贈与されたけど、親の生活が心配だからこの贈与契約を取り消したい。」
「家を建てるつもりで土地を贈与して貰ったけど、家を建てるのをやめたから祖母からの土地の贈与を取り消したい。」
などというように、
「財産の贈与を受けたけど、事情が変わったから受けた贈与を取り消したい。」と考えることはあったりするものでしょう。
このように「一旦貰った贈与の取り消しができるのか。」といったことは関心があったりするものですよね。
ただ「贈与の取り消し」というのは、民法上でも制限されているのです。
たとえば、民法第550条には、
「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。」
というように「書面によらない口約束での贈与契約の場合には取り消しができる。」と規定されています。
とはいっても、民法第550条の但し書きに、
「ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」
というように、先ほどの話にあるような一旦贈与を受けた現金や土地は「贈与が完了しているので取り消すことができない。」とされています。
例外として、一旦履行された贈与契約だったとしても取り消しが行えるものとして、
「詐欺や脅迫などで行われた場合の贈与は書面・口頭契約どちらの場合でも取り消すことができる。」とされているだけだといえます。
しかし、上記のような違法性のある場合でなければ、
書面による贈与契約がある場合や口約束による贈与でも履行が完了している場合には、その贈与は取り消すことができないことになっています。
解除したい贈与契約でも贈与税は課税される
「贈与契約を解除したい。」と考えていたとしても、
一旦その契約が履行されたものは贈与契約が成立となるので、法律的には解除することは無理なことだといえます。
なので「解除したい贈与。」だったとしても、非課税枠を超えた金額に関しては贈与税がかかるので、確定申告において贈与税の申告をしなければなりません。
また「贈与を受けたけど要らなくなったから、贈与を受けた財産を返す。」という場合にも、新たな贈与となるので金額に応じた贈与税の支払いが必要になるものです。
贈与というのは、
「履行された贈与は取り消すことができず、金額によっては贈与税がかかる。」
さらには「贈与された財産を返す(贈与するとなる)場合にも贈与税がかかる。」
となるので、財産の贈与を行う場合には「贈る側」も「受け取る側」も慎重な対応を心がけるべきでしょう。