「赤字だと税金の支払いをしなくていい。」
ということはありますが、慢性的な赤字の状態というのは避けるべきです。
赤字というのは好ましい状態ではない
売上よりも経費が上回る状態になっていることを示す「赤字。」
その赤字にも、いくつかの意図が込められていることもあるでしょう。
「新店舗出店のため、出店費用が嵩み一時的に赤字になった。」
「業界が縮小しているので、慢性的に赤字になっている。」
などというように、赤字にも「一過性の赤字」や「慢性的な赤字」というものがあるといえます。
この赤字について気をつけなければならないことが、
実は慢性的な赤字にも関わらず、
「来期はなんとかなる。」と一過性の赤字だと捉えているという場合です。
少なくとも赤字というのは「いまは事業がうまくいっていない。」ということを表しているもの。
なので、事業を営んでいるうえで赤字になっているのであれば、
「なぜ赤字になったのか。」ということを、真剣に分析すべきでしょう。
赤字には期限がある
「事業がうまくいっていないことを示す赤字。」
といっても「赤字だと所得税や法人税の支払いをしなくてすむ。」という節税効果があるのも間違いではありません。
預かった消費税と支払った消費税を精算する「消費税の支払い。」と異なり、
所得税や法人税は「儲かったかどうか。」に対して、税金の支払いが生じるものです。
なので、赤字の場合には「その期(年)の所得税や法人税の支払いをしなくてもいい。」ということになっています(法人税は7万円の支払いが赤字でもある)。
そして、この赤字の繰越には期限があります。
個人事業者の場合には3年間の繰り越し
法人の場合には10年間の繰り越し
だからこそ、赤字が繰り越されている期限内に黒字化して、
「今期は黒字だけど、赤字の繰越があるため所得税や法人税を支払わなくていい。」ということをすべきでしょう。
少なくとも「慢性的な赤字で、黒字との相殺を考える必要もない。」という状態は避けるべきです。
銀行融資は黒字のときに受けるようにする
「赤字だと所得税や法人税などの税金の支払いをしなくていい。」
といっても「赤字だからこの事業は儲かっていない。」というのが第三者からの評価になります。
「別に誰にも評価されることはないけど。」ということを考えるかもしれませんが、
銀行融資を受けようとする場合には「銀行はその事業を評価すること。」になるのです。
そして、銀行が融資を実行するかどうかの判断基準となるのは「黒字かどうか。」ということだったりします。
なので「節税対策で決算はいつも赤字。」
ということをしていると、銀行融資を受けられる可能性は低くなるといえます。
「もう少し事業資金があればこの事業は化ける。」
という場面も事業を営んでいると起こり得ることかもしれません。
そのようなときに「ずっと赤字」の決算書では銀行から融資を受けるのは難しいでしょう。
事業というのは慢性的な赤字の状態というのは避けるべきです。
赤字が続けば、黒字のときに赤字を相殺しての節税効果も得られませんし、銀行融資を受けられず事業のチャンスを逃してしまうといえます。
そして「赤字」というのは長期的には資金を溶かしているということになりますから。