「副業で節税。」
などという話が少なくなるのでしょう。
なぜ「副業で節税」と叫ばれるのか
「お金に賢い人はみんなやってる副業で節税。」
などといった言葉をSNSなどを通じて見たことがある方も少なくないといえるかもしれません。
「なぜ副業をすると節税になるのか。」
といえば、副業を事業所得として赤字で確定申告をすることで黒字の給与所得と「損益通算という名の相殺」ができるからです。
なので、副業を事業所得として赤字申告することによって損益通算を利用し、
「給与から天引きされた税金を取り戻すことができる。」
ということになり「副業で節税。」などという言葉がバズワードのひとつになっているといえるのでしょう。
事業所得と雑所得の区分には曖昧さもある
「副業で節税の何が問題なのか。」などと感じることもあるかもしれません。
たとえば、会社員の方が副業を行なっている場合には「その副業は事業といえる規模なのか。」といった問題があるものです。
「事業といえる規模」
ということになれば、事業所得として確定申告をすることができ「青色申告特別控除の適用や損益通算」などの税金面のメリットがあるといえます。
それとは反対に「事業とはいえない副業」ということになれば、損益通算ができない雑所得として確定申告をすることになります。
この「事業所得となるのか雑所得となるのか。」の規模には曖昧さもあるといえます。
「売上がほとんどなくても会社員として働いているときよりも時間を使っている。」として事業所得だと主張できることもあるのでしょう。
副業だけど反復、継続、独立して「事業的規模として行なっている。」と考え事業所得として確定申告をしている方もいるものでしょう。
というように副業で売上がほとんどなくても「雑所得ではなく事業所得として確定申告をしている。」といった方も少なくないのかもしれません。
とはいっても「副業で赤字をつくり黒字の給与所得と損益通算して節税。」といったことは、やりすぎだったといえるでしょう。
副業の売上が300万円以下の場合には事業所得とならない
「副業の売上は少ないけど、四六時中その副業のことを考えているから事業所得で確定申告をしている。」
そして「飲食代や家賃、水道光熱費、パンツ代なども経費だからなどというように生活費を経費にして赤字申告をしている。」
などというように、あえて副業を赤字にして確定申告をしているという方も少なくないのかもしれません。
このようなことがまかり通っていたからか、2022年8月1日に国税庁から「所得税基本通達の改正案」が公表されました。
その所得税基本通達の改正案としては、
”事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこと“
というように、
「会社員などの本業として収入があり副業を行なっている場合には、その副業の売上が300万円以下の場合には雑所得になる。」というような内容となっています。
この改正案が制定されると「副業で節税。」はかなり封じられるといえるでしょう。
たしかに「副業して収入源を増やす。」といったことは、必要なことだといえます。
とはいっても、税法の隙間をついて「脱税」ともいえる行為を行なってしまうのは問題があるものです。
ひとまずは今回のような「副業に売上基準が設けられる。」といったことは、必要な策だったともいえます。
この改正案を受けて「売上を操作して300万円基準を満たす。」といった怪しい投資話には乗らないようにしましょう。
なお、この改正案は2022年(令和4年)以後の所得税から適用開始が見込まれています。