相続があった際にはすべての財産に相続税がかかるのではなく、一定の非課税財産が存在します。
相続税が非課税となる財産
相続が起きた際に引き継ぐ金銭的な価値がある財産は、基本的には相続税の対象となる財産となります。
ただ、一定の財産には相続税がかからない非課税財産があります。
そんな相続税の非課税というのは、以下の7種類となっています。
1 墓地や墓石などの日常礼拝をしている財産(投資の対象となるものを除く)
2 宗教などの公益を目的とする財産で、公益事業に使われることが確実な財産
3 心身障害者共済制度に基づいて支給される受給権
4 相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
5 相続によって取得したとみなされる退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
6 個人経営の幼稚園事業に使われていた財産
7 相続財産を公益法人に寄附した財産、あるいは特定の公益信託の信託財産とするために支出した財産
実際に相続税がかからない財産の注意点
相続税の非課税財産は、上に挙げたように主に7つあることになりますが、
多くの場合には1の墓地や墓石などと、4と5の生命保険金と死亡退職金が身近なものだといえるでしょう。
特に注意すべきなのは墓地や墓石、仏壇などの「祭祀財産」と呼ばれるもので、基本的には相続税はかかりません。
とはいっても、墓地や墓石などは「社会通念上著しく高額なもの」となる場合には、非課税とならないこともあるので注意が必要だといえます。
そして、相続税の際に墓地などで考慮すべきことは「生前に購入したほうが節税になる。」ということです。
なぜなら、相続対策として生前に墓地などを購入しておくと課税対象となる相続財産(この場合には現金)が減ることになるからです。
ただ、ローンで墓地などを購入してそのローンの完済前に亡くなった場合には、その残額は債務控除にはならないので注意が必要だといえます。
なので、墓地などは生存中に現金で購入することが重要になります。
もし、被相続人が亡くなった後に相続人が相続財産で墓地を建てることや仏壇を購入したとしても、非課税とはなりません。
生命保険金と死亡退職金の非課税額の計算方法
生命保険金や死亡退職金も相続税の対象となりますが、遺族の方への生活保障という点を考慮して一定の金額を非課税としています。
生命保険金の非課税額は、以下の計算式になります。
500万円 × 法定相続人数 = 生命保険金の非課税額
また、死亡退職金の非課税額も以下の計算式となります。
500万円 × 法定相続人数 = 死亡退職金の非課税額
なので、計算式としては生命保険金も死亡退職金も同じものとなります。
たとえば、相続人が妻、長女、次女の場合の生命保険金の非課税額は、
生命保険金の非課税額 : 500万円 × 3人 = 1,500万円
となり、死亡退職金の非課税額は、
死亡退職金の非課税額 : 500万円 × 3人 = 1,500万円
ということになり、それぞれ1,500万円までは相続税が非課税となります。
「この非課税額はどちらか一方のみが受けられる。」
ということではなく、生命保険金や死亡退職金の両方の支給がある場合には、それぞれの非課税額を両方とも受けられることになります。