税務調査の対象先になるかどうか、自己分析をある程度してみることは大切なことです。
税務署も生産性を考えて、税務調査対象先を選んでいる
税務署の職員数(約56,000人)にも限りがあるので、税務調査に入る対象先をある程度絞る必要があります。
職員数が約56,000人といっても、直接調査実務に携わることがない管理職や総務部門などの間接人員を抱えているので、職員全員が税務調査の仕事をしているわけではありません。
そのような状況化で、少ない時間で大口の追徴課税というような実績を、調査官は上げなければなりません。
すると、たとえば「申告書にミスが多く」ても、「個々のミスが少額」な先では対した成果にならないと考えます。
真面目な納税者のもとに税務調査に入って、「無理やり」指摘事項を見つけるのは大変ですし、調査官も疲れてしまいます。
調査の対象になる先も、たとえば法人だと4%ほど。
25社に1社もない割合で、税務調査の対象に選ばれるのは「運が悪い」とも考えられるほど少ないと考えるかもしれません。
調査実績を効率よく積み上げるには、「どうしても不正申告の匂いがする法人」や、「無申告の法人」を重点的に調査対象に選ばれるともいえます。
また、全く税務調査がないと納税者側の適正な申告という部分で、緊張感が失われるという感覚もあります。
なので、そこそこ売上があるのに税務調査に一度も入ったことがない先や、前回の税務調査からの期間が空いている先には税務調査の可能性が高くなります。
不正の申告がありそうな先や、調査間隔が空いているところは、税務調査の対象になる可能性が高いと考えていいということになります。
税務調査の対象となる対象先って、どうやって選ばれるのか
税務署は、効率的に成果を上げるために事前調査をすることによって、税務調査の対象となる先を選ぶことになります。
この事前調査では、次の様なことが行われます。
「申告納税状況の適切かどうかの検討。」
「期限内にきちんと申告書が提出されているかどうか、納税されているかどうかなどの調査。」
「申告書を活用した、経営分析。」など。
経営分析は、勘定科目ごとに前期以前の決算書と比較して、「増減項目や、当期の業績推移、財産変動の状況を把握する比較分析。」
また、財務比率分析をして、たとえば「売上高総利益率や各比率で業界平均等と比較してみて、異常値がないかを調べる。」といったことを行なっています。
これらの机上での事前調査や、内偵調査といって飲食店や小売店などの店舗にお客として飲食をしたり、商品の購入をすることがあります。
こういった事前調査の結果、不審な点があった場合などに、税務調査の中心となる実地調査に移ることになります。
実地調査とは、調査官が現場出向いて帳簿書類や現物を検査することをいい、一般に税務調査といえばこの実地調査を意味します。
税務署は、すべての事業者に税務調査を行うほど、調査官の人員は多くはありません。
ある程度の申告書を見て、条件を絞ってから、税務調査をする事業者を選ぶことになります。
売上が上昇しているのに、利益があまり出ていない事業者。
過去の実績と比べて、数値の変動が大きい事業者も税務調査の対象になりやすいものです。
不正がありそうな先か、税務調査の間隔が空いている先は、税務調査に入る可能性が高くなるということになります。