「赤字だと取られるものもないし、税務調査も来ないよね。」
本当にそうなのでしょうか。
赤字にも様々なパターンがある
国税庁の統計によると、近年の法人税の赤字申告の割合は7割近くとなっています。
赤字といっても、その赤字の内容は様々だったりします。
たとえば、「役員報酬を全く取ることが出来ないほど」の経営危機に陥っている場合もあれば、反対に「役員報酬が高すぎること」によって、本当は黒字だけど「あえて」赤字で申告をしているという場合もあります。
こういったことがあるため、全企業のうち赤字企業が7割近くあるとなっていても、巷で倒産が相次いでいるわけではないのです。
そうすると、「赤字といっても」本当に赤字なのかどうかを確かめたくなるという気持ちが、税務署にもあることが理解できるとおもいます。
赤字の状態だと、税務調査がないってホント?
税務調査は所得の申告漏れを発見して、税金を追加で徴収することを目的として行われている側面があります。
ということなので、赤字の状態だと所得の申告漏れがあっても、税務署としては税金の追徴をほとんど期待できないということがあります。
したがって、赤字会社の経営者は、「うちの会社は赤字だから」税務調査は来ないだろうと考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、税務署にとっては、「赤字だから、黒字だから」という区別はあまりなく、赤字の状態でも申告漏れがある可能性を見越して、税務調査が行われる場合があります。
たとえば、当初の申告では赤字でしたが、税務調査をしたら実は黒字だったちう会社も少なからずあるといわれてます。
また、赤字会社であっても、税務署が財務分析などをして真の赤字かどうかを確認して、「怪しい」となってしまうと必ず調査はやってきます。
そのほか赤字会社では、消費税の納税額が多額で計算にミスが起こりがちな業種では、消費税を確認するために税務調査を行うということもあります。
さらに、
「欠損金の繰越控除があるから来ないでしょ。」
と思っていても、「過去の申告書の経費を認めないという税務調査を行う」ことによって、
「実はもう欠損金がなかった」となり、追徴課税されることも場合によってはあることです。
ただ最近の税務調査の状況を調べてみると、黒字会社に対する税務調査の調査割合よりは、赤字会社に対する調査割合が低くなっているようです。
確かに黒字会社と比べると赤字会社に入る確率は低いのですが、赤字会社にも税務調査はやってきます。
赤字会社だから、「滅多に税務調査は来ないだろう」と安心してはいけません。