社会保険が嫌だからという理由でフリーランスになるのはやめたほうがいい

「社会保険が給与から天引きされるのは納得いかないから、フリーランスになる。」

という考えはやめたほうがいいでしょう。



フリーランスになると手取り金額は増える


「毎日働いているのに、手取りが23万円なんて低いよなぁ。」と思っていたひとが、

「フリーランスになり業務委託で働いたら、手取りが30万円になった。」

ということになると「フリーランスになってよかった。」と思うものですよね。

この場合には、手取り金額が7万円も増えることになるので「生活もワンランク、アップした。」と思えるものでしょう。

このように、多くの場合には会社員時代よりもフリーランスとして業務委託をしているほうが、手取り金額は増えるといえます。

会社員時代には、「給与を満額もらえないことに不満がある。」ということもあるでしょう。

なので、フリーランスになり収入を増やそうという気持ちになるのは理に適っているとはいえます。


フリーランスでも税金や年金は支払わなければならない


会社員時代には給与の額面金額を見るのではなく、

「税金や社会保険料が天引きされた手取り金額。」がじぶんの収入だと考えている人も多いかもしれません。

その手取り金額を見て、給与はこんなに低いのかよと。

それがフリーランスになると、稼いだ金額のすべてを貰えることになるので収入が増えたと感じることもあるでしょう。

とはいっても、所得税や住民税などの税金は確定申告を行なうことで支払うことになるので、

「給与から天引きされて払うのか、確定申告をして支払うかのタイミングの問題。」だといえます。

また社会保険に関しても、フリーランスになった場合には、国民健康保険や国民年金を支払わなければなりません。

このように税金や国民健康保険・年金に関しては、フリーランスになったとしても、

「結局は支払らわなければならないもの。」だといえます。


フリーランスになると社会保険料分の収入が減る


会社員時代の額面給与が30万円の場合と、フリーランスとしての30万円の売上(収入)では、会社員のほうが多い収入だといえます。

「フリーランスは経費をじぶんで負担しなければならないからでしょ。」

といったこともありますが、

会社員というのは「じぶんの額面給与にプラスして、会社側も社会保険料を負担してくれているから。」です。

その会社側の負担金額は、額面給与金額の約15%になります。

たとえば、額面金額が30万円の会社員の実質的な給与は、

額面給与 30万円 + 会社負担の社会保険料(15%) 4.5万円 = 34.5万円

ということで「本当の給与は34.5万円」になり、

「貰っている額面金額よりも15%ほど高い給与を会社から貰っている。」ことになっています。

なので、フリーランスになり会社員時代と収入が同じだとすると「実は会社員時代よりも給与は低い」ということになるのです。



フリーランスになると将来受け取る年金も減る


「フリーランスになったら節税三昧で、税金を払わない分使えるお金は増える。」

ということを考えるひともいることでしょう。

たしかに「給与所得控除」というものがあるので、経費に対して解釈の余地が認められない会社員よりは、

フリーランスのほうが「節税の余地は増える。」こともあります。

とはいっても「売上のために使ったお金以外は経費にならない。」というのが、税金計算の基本です。

その節税という話ではなく「将来貰える年金が減る。」といえるのがフリーランスになります。

公的年金の仕組みというのは、2階建てになっています。

そのなかでも会社員は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階分を貰うことができます。

これがフリーランスということになると、貰える公的年金は1階分のみとなります(会社員時代に支払った2階部分は貰える)。

たとえば、給与が30万円の会社員を40年間していた場合の公的年金受取額は、

基礎年金 約80万円 + 厚生年金 約100万円 = 180万円

となりますが、フリーランスを40年間していたひとは、

基礎年金 約80万円

ということになり、年金の受取額が1年間で100万円ほど変わってくるといえます(諸条件により金額の変動あり)。

なので「フリーランスになって手取り金額が増えた。」と思っていても、

「年金の受取額でかなりの差が出てくる。」ということになるのが、会社員とフリーランスの違いになるといえます。

なぜこれほどの差が出てくるのかといえば、社会保険というのは「会社が従業員分の社会保険を負担している。」からです。


フリーランスになったら会社員時代よりは稼ぐ必要がある


先程の年金を20年間貰い続けるとすると、会社員とフリーランスでは2,000万円(100万円×20年)の差がつきます。

この差額を埋めるためには、40年間フリーランスで生きる場合だと、

「年商として50万円(2,000万円÷40年)以上、会社員時代よりも収入を増やす必要。」があるといえるでしょう。

このようにフリーランスというのは、会社員よりも福利厚生は少ないので、会社員時代よりも稼がなければならないともいえます。

なので「税金や社会保険料の天引きが嫌だからフリーランスなる。」ということは、よく考えてみるべきでしょう。

とはいっても、フリーランスとして生きていくのは悪くはないといえますけど。