賃貸不動産を売却した際には保証金の取り扱いに注意

賃貸不動産を売却する際には保証金分を売上として確定申告をする取引だったのか、しなくていい取引だったのかという注意点があります。



テナントから受け取る保証金


賃貸用不動産の収益を事業としている場合には、テナントから敷金や保証金を預かることも少なくないものでしょう。

その保証金に関しては、返還義務のある部分は「預り金」となり収益となることはありません。

また、テナントが退去した際に返金した保証金も経費とはならないものです。

このような保証金は、

「一時的に預かっている。」という性格のものになるので、確定申告においても売上などに計上する必要はないといえます。

例外としては「返金しないことが確定した保証金の金額。」のみが、収益となり確定申告で申告しなければならないとされています。

そんな保証金に関しては、その賃貸用不動産の売却をする際に「譲渡対価。」として、

「売上に含めて確定申告をしなければならない場合」や「売上に含めなくていい場合」があるので注意すべきだといえます。


保証金を別途現金で決済する場合


たとえば、テナントから保証金1,000万円預かっている賃貸用不動産を1億円で売却した場合。

その保証金を別途精算する場合には、保証金を売上として譲渡対価に含めて確定申告をする必要はありません。

預金 1億円 / 売上 1億円
預り金 1,000万円 / 預金 1,000万円

このように「賃貸用不動産を1億円で売り、保証金1,000万円を別途精算した。」となる場合には、

保証金に関して何らの利益も得ていないので、譲渡所得の売上に含める必要はないのです。

あくまでも「預り金の精算」といった取引になります。

また、実務上は「保証金をいちいち決済するのは手間だから9,000万円のお金を動かそう。」という取引も行われるものでしょう。

その際には、

預金 9,000万円 / 売上 9,000万円 

ということではなく、先程のように、

預金 1億円 / 売上 1億円
預り金 1,000万円 / 預金 1,000万円   

と考える必要があるので「動かした金額は9,000万円だから。」と、譲渡対価となる売上を9,000万円としないように注意をする必要があるといえます。


保証金を一切精算しない場合には注意


賃貸用不動産の売却を行う際には「保証金は一切精算しない。」というような取引が行われることもあったりするものでしょう。

そのような保証金の精算をしない場合には資金の動きとして、

預金 1億円 / 売上 1億円

となるので、確定申告を行う際にも「譲渡対価1億円」として申告を行なってしまうものかもしれません。

とはいっても、保証金を精算しないのであればその保証金の負担は買主となるので、

売却した側は「保証金を返金しなくても良くなった。」という経済的利益を得たことになります。

そのような経済的利益に関して、税金の世界では税負担が生まれることも多いものです。

なので、保証金の精算をしない「保証金の持ち回り。」となる場合には確定申告において注意をすべきだといえます。

譲渡所得の確定申告をする際には、テナントに返す必要がなくなった保証金を譲渡対価として売上に含める必要があります。

預金 1億円     / 売上 1億1,000万円
預り金 1,000万円  /

もし、保証金分を含めた金額で確定申告をしなければ、忘れた頃に追加での税金の支払いを税務署から求められることもあるので注意していきましょう。