「従業員の指揮を高めるために車やPS5を支給しよう。」という場合には、現物給与となり給与に含めることを忘れないようにしましょう。
金銭以外の支給も給与課税となる
「もう給与の支払日かぁ。。。」
「まだ給与日は来ないのかぁ。。。」などと支払う側と受け取る側で認識が異なる給与日。
そんな人件費は、多くの事業にとって経費のなかでもかなりの部分を占める支出だといえるでしょう。
そして「給与。」というのは、金銭での支払いが一般的だといえるものです。
とはいっても、モノで支給するといったような経済的な利益をもたらした際にも「現物給与。」として給与として取り扱われ所得税などの税金の対象になったりするといえます。
たとえば、
- 非課税額を超える通勤交通費
- 会社の負担が月3,500円を超える食事の支給代
- 職務の性質上必要ではない制服の支給
- 業務とは直接関係ない海外旅行代
- 営業成績優秀者に対するクオカードなどの交付
などといったものが「現物としてもらった給与。」のひとつの例ということになり、従業員へ直接金銭のやり取りがなくても所得税などの税金がかかる行為となります。
車やPS5などを従業員に支給してそれに返還義務がなければ給与となる
「現物給与となるのか。」といったことは、判断が難しい部分もあったりするものでしょう。
「従業員にオーダースーツを支給した。」という場合には、
「スーツは仕事でしか着ることがないから現物支給とはならず非課税になる。」と考えるかもしれませんが、そのスーツの仕様が職務上の性質に応じた特別なものでない限りは給与となり税金の対象となるものです。
また、従業員の指揮を上げるために「車やPS5を支給する」といったことも世の中にはあったりするのでしょう。
このようなモノも「職務の性質上必要なもの。」であれば、給与とはならないといえます。
たとえば、メインの移動が車でその行動範囲が全国となる職種であれば、たとえ従業員の自宅近くに駐車している車でも、
「転勤する場合や退職する場合には会社へ返還する。」というような社内規定があれば、その車はあくまでも会社の所有物となり給与課税とはならないといえます。
ただ「一定期間を経過した(たとえば6年など)後、所有権は従業員に移転する。」などというやり取りがあるとすれば、その従業員への給与として課税されることもあるので注意が必要だといえるものす。
同じように「PS5が職務の性質上必要。」だという事業であれば、返還することが明文化されていれば給与として税金の対象となる可能性は低いともいえるかもしれません。
とはいっても「PS5の所在地が従業員の自宅。」ということであれば、
税務調査に際に「プライベートなものとして使うよね。」と給与として税金の対象と判断される場合が多いでしょう。
そして「すでにPS5を持っている従業員へはAmazonカードを支給した。」という場合は、その行為は現物給与となるといえます。
バラして構造理解に努めるなら給与課税されず研究開発費
などというように社長の善意として従業員のやる気をアップ図るために、
「モノを福利厚生の一環として支給する。」という場合には、ほとんどのケースで現物給与となり税金の対象となるものです。
なので、そのようなモノを支給する際には「福利厚生費。」などとせずに、給与支給日にそのモノの金額も給与明細に入れて所得税などを源泉徴収することを忘れないようにしましょう。
とはいっても「PS5を従業員に支給して、その中身をバラさせてPS5よりも高性能なゲーム機を開発する。」といったことや、
「テスラを分解して世界最高峰のEV自動車を開発する。」というように、
「分解して研究することが目的でその研究も従業員の自宅で行なってもらうから。」という場合には給与としてではなく研究開発費などの経費になるといえます。
ということは「分解してバラしたあとは、元の状態として使える状態ではない。」という場合でないと給与として税金の対象となると考えておいたほうがいいでしょう。
いずれにせよ、従業員としては「色がついていないお金。」でもらう方が士気は上がるものかもしれません。