小さな会社でも役員報酬のルールは守らなければいけない

「役員であるじぶんへの給与はテキトーでいいや。。。」は法人税法では通用しないので注意していきましょう。



役員報酬は毎月同じ金額にする必要がある


個人事業者から法人成りした場合でも、はじめから法人をつくって起業した場合でも、役員であるじぶんへ支払う給与については注意をする必要があります。

社長であるじぶんへの給与支払いは「定期同額給与。」として一定のルールに従わなければ会社の経費とはならないのです。

その「定期同額給与」というのは、

「毎月、同じ時期に同じ金額を支給する。」というルールになります。

なので「先月は50万円だったけど、今月は売上が好調だから55万円にしよう。」

というのは、定期同額給与に該当しないので会社の経費とはならないため注意をする必要があるといえます。

もし、役員報酬は「基本給が50万円で、さらに歩合給としてそのときどきの業績により支給する。」としていると、

固定給は法人税法上の会社の経費と認められますが、歩合給は会社の経費にはならず節税効果は一切ないものになります。

「役員報酬を毎月変動させて、会社の利益を調整する。」

としていると国家として税金の徴収に不具合も生じるとされているので、一旦決めた役員報酬額はその決算日までは守り続ける必要があるというのがルールだといえます。


歩合給のようなかたちで役員ボーナスを支給することもできる


「必ず毎月同じ金額でないといけないんなんて。。。」

「歩合給が認められないと社長としてのモチベーションが保たれない。」と感じる方もいるものかもしれません。

たしかに、経営者などの役員となる場合にはその給与は定期同額給与となるので、ボーナスを貰うことは難しいといえます。

とはいっても「社長などの役員にボーナスを支給しても会社の経費となる。」場合もあるものです。

それが「事前確定届出給与」というものになります。

「事前確定届出給与」というのは、

「あらかじめ決めた役員(社長など)に対して、あらかじめ決めた時期に、あらかじめ決めた金額」を税務署へ届け出たうえで支給する給与をいいます。

たとえば「社長に3月25日に100万円の事前確定届出給与を支給する。」という届出書を税務署へ提出することが必要となるのです。

なので、税務署へ届け出た通りに支給すれば、

「役員ボーナスとして支給した場合。」にも経費となるので、会社にとっても税金対策になるといえます。

この事前確定届出給与は税務署への提出が必須となるものですし、

「届出書を提出したけど全く支給をしなかった。。。」というのも認められています。


役員報酬額はどのようにして決めるか


「役員報酬をどの程度取るべきなのか。」ということを悩まれたりもするものでしょう。

「役員報酬を取りすぎて赤字決算になる。」というのも避けたいものでしょうし、

「役員報酬が少なすぎて黒字決算になりすぎる。」ということも困りものかもしれません。

なので、役員報酬の金額というのは「今期の業績見通し」や「じぶんが生活していくために必要なお金。」を算出して、折り合いをつけるしかないといえます。

また、銀行から資金調達をする際には「会社の利益と社長個人の資産状況を加味して銀行は融資判断を行なう」ので、

「会社の利益金額も社長の役員報酬額のどちらも低すぎる場合には、希望金額の融資が受けられない。」という場合もあったりするものです。

だからこそ「ひとまずは生活していけるだけの金額をベースに考えて、業績の見通しによって毎期変更していく。」というのが役員報酬を決める際のひとつの手だといえるかもしれません。