競馬の当たり馬券の経費にハズレ馬券は含まれないのが税金面の現状

芸能人の方が「競馬の税金において不服申立てを検討する。」という話題もあったので、競馬の当たり馬券についての税金について解説していきます。



競馬の当たり馬券にも税金がかかる


「週末の楽しみは中央競馬に興じること。」

「平日の楽しみは地方競馬に興じること。」

という方も少なくないかもしれません。

このようなギャンブルは「働いたあとの税金や社会保険を引かれた手取り金額で行なう。」という方も多いものでしょう。

そんな競馬などのギャンブルに関しては、

「運良く当たり馬券となった場合には、税金がかかる。」ということになります。

「税金を引かれたなけなしのお金を賭けているのに、また税金がかかるなんて納得ができないよなぁ。」と思われる気持ちは理解できるものです。

そんな競馬の当たり馬券は「一時所得」となり、所得税として税金がかかることになります。

「じゃあ、当たり馬券を得るたびに税金の支払いをするのかよ。」といえばそうではありません。

一時所得にかかる税金というのは、

収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除(最高50万円) = 一時所得金額

一時所得金額 × 1/2 × 税率(5%から45%)

になります(所得税の税率は給与などの他の所得によって変動する。さらに住民税は10%。)。

なので「競馬の1レースでの儲けが50万円以下。」の場合には、一時所得の特別控除額(50万円)以内になり所得税はかからず確定申告の必要もないといえます。

では「競馬などのギャンブルの儲けを税務署が把握しているのか。」

といえば、多くの場合には難しいものでしょう。

ただ、JRAのPATなどのネット投票の場合には税務署も儲けを把握しやすいものだといえます。


ハズレ馬券は経費にはならない


「今日は競馬で1万円使ってトータル2万円の当たり馬券だったから、1万円の儲けで悪くない一日だったなぁ。」

といった気持ちで競馬場をあとにすることもあるものでしょう。

そして「1万円の儲けで普段よりもいい食事をする。」ということも、競馬などにおけるギャンブルの楽しみだのひとつだといえるかもしれません。

ただ、税金の計算において「競馬でいくら使ったか。」というハズレ馬券は、関係ないということになります。

なぜなら、一時所得の対象となる経費というのは「当たり馬券に支払ったものだけ。」となるからです。

なので「1万円使って、トータル2万円の当たり馬券だったから1万円の儲け。」だという感覚だったとしても、

当たり馬券にかけた金額が100円だったとすれば税金の計算上は、

20,000円 – 100円 = 19,900円

が儲けとなります。

この金額であれば、一時所得の特別控除の50万円以下になるので税金は非課税となります。

それでも、毎週中央競馬や毎日地方競馬を行なっている人であれば、一時所得の特別控除額(50万円)を超えてしまう方も一定数いるのかもしれません。

「けど、ハズレ馬券も経費になるっていう最高裁の判例もあるよ。」と思われる方もいるものでしょう。

とはいっても、最高裁の判例は「一般のギャンブラーには到底無理な特殊な事例。」だといえます。

  • 年間レースのほとんどすべてに賭けていた
  • じぶんの勘ではなく特殊なソフトを開発しアルゴリズムで自動購入していた
  • ましてやトータルの収益がプラスとなっていた

といったもので「もはやこれは反復・継続・独立している事業的規模になるのではないか。」と感じられるものだったのです。

そして、この最高裁の判例は(事業所得ではなかったが)雑所得として、ハズレ馬券も経費に入れて税金の計算が認められることになったという経緯がありました。


非課税を求めるならテラ銭の増額になるのでは


競馬などのギャンブルをレース場で観戦すると「音の迫力や馬の躍動感」といったものもあり、虜になることもあるものでしょう。

そして、賭けた馬券が当たり馬券となれば「じぶんの勝負師としての勘。」を誇りたくなるかもしれません。

とはいっても「当たり馬券には税金がかかることもある。」ということは、忘れないようにしたほうがいいといえます。

特に「WIN5」などのようなネット限定の馬券では、

「1レースに100円を賭けて5億5444万6060円の高額配当。」などというように、

「以前では考えられないほど、儲けを得られる規模になった。」と考えている競馬ファンの方もいるものでしょう。

ただ「現状ハズレ馬券は経費にならない。」というのが、競馬などにおける税金の計算上の注意点だといえます。

仮に「1レースに100円を賭けて5億5444万6060円の高額配当」となれば、所得税は約1億2千万円の所得税の支払いをしなければなりません(さらには住民税の支払いも)。

なので「競馬で高額配当を受けた。」といった場合には、税金の支払い分のお金を残すことを忘れてはいけないといえます。

たしかに「ハズレ馬券が経費にならない。」というのは、不公平に感じる方もいるものでしょう。

それでも、一時所得の時点で「儲けの半分」が税金の対象となっているので多少の優遇措置があるといえますし、

「ハズレ馬券も経費に。。。」となれば、マネー・ロンダリングの温床となる可能性も考えられます。

すると「競馬の当たり馬券も宝くじと同じように国へのテラ銭を50銭に。」とすれば、所得税法上の非課税の対象となるのかもしれません。

ただ「競馬ではそれほど儲けられない。。。」と考えているライトな層からすれば、配当に回る原資が減るのは耐えられないものだといえます。

だからこそ、競馬をPATやWIN5などのネット投票で行なう際には「税金面も考慮しておく。」というのが、競馬に興じる紳士としての嗜みなのかもしれません。

なぜなら、税金を無視していると税務署の担当者が税務調査にやってくることもあるものですから。