税務調査で立替金が指摘されないように注意していきましょう。
あくまでも一時的な資金の移動に使う科目
本来は従業員や社長、取引先が負担すべきものを一時的に代わって支払った場合に使う科目が立替金だといえます。
そんな立替金は経理が整っていない中小企業や個人事業主の場合に、
「戻ってくるかわからないけど預金口座から引き出されているから、ひとまず立替金にしておこう。」といったことも少なくないといえるかもしれません。
税理士業を営んでいる中でも、
「社長の確認が取れるまでいったん立替金にして経理をしておきましょう。」ということを伝えたりする場面があるものです。
だからか、行方不明の支出には立替金といった科目が使いやすいものだといえるかもしれません。
長い期間立替金になっていると
立替金というのは、あくまでも一時的に使う科目だといえます。
なので、決算書や確定申告書にはあまり載っていないほうがいい科目だといえるものです。
そんな一時的に使うはずの立替金が長期間存在していて、さらに増えていたりすると、
「これは実質的に役員報酬ではないですか。。。」などと税務調査で指摘されてしまうこともあったりするといえます。
他にも「これは社長への貸付金ですよね。。。」と指摘される場合があるものです。
役員報酬と指摘された場合には、源泉所得税などの追加支払いを求められたりするものですし、貸付金として指摘された際にはその貸付金に対する利息として収益を計上しなければなりません。
だからか「役員報酬として認定されるのは厳しいから貸付金としての交渉をする。」
「返済の計画書を示す。」ということを税務調査の際に行なったりするものです。
役員報酬として認定されてしまうと経費となることが認められず、さらに源泉所得税などの支払いもありダメージが大きすぎるからだといえます。
金額が少額の場合にはそれほど心配する必要はないけど
「立替金が役員報酬として指摘されるとダメージが大きい。」といっても、その立替金の金額がそれほど多額でなければあまり税務調査で本格的な指摘を受けることはないといえます。
「数十万程度の立替金が毎年記載されている。」という場合には、税務調査でもそれほど丹念に調べられることはないものです。
「なるべく短期間で精算してくださいね。」といったコミュニケーションでおわる場合がほとんどだといえるかもしれません。
とはいっても「立替金が毎年増えている。数百万円単位ある。」といった場合には税務調査の論点となるので注意していきましょう。
もし「役員報酬が低すぎるから立替金が増えるのは仕方がない。」と考えているのであれば、役員報酬の改定時期に役員報酬を見直して立替金が生じないようにすべきです。
また、従業員や役員報酬に対する立替金が長期間に渡っているのであれば、給与天引きにして早めに解消に努めたほうがいいといえます。