「食料品消費税ゼロ」が実現したら飲食店から顧客数は減っていく

2025年参議院議員を前に叫ばれ始めた「食料品消費税ゼロ」という政策。

飲食業にとっては、打撃になりかねないものだといえます。



食料品消費税ゼロ


「消費税は低所得者にも課税される不公平な税金。」

といったイメージがあるからか、2025年の参議院選挙を前に野党を中心として叫ばれ始めた消費税ゼロ(0%)政策。

「モノの値段を安くすることで国民経済を豊かにする。」という戦後の名経営者の言葉を借りれば、減税はモノの値段を安くする行為なのでありがたいことだといえるでしょう。

「1年間で食料品に対して100万円支出している。」というひとであれば、約8万円を負担しているともいえる消費税がゼロになるといえるからです。

すると「浮いたお金でNintendo Switch 2を買ってもお釣りがくる。」などと消費が喚起されるかもしれません。

「8万円で万馬券を狙って800万円にする。」といったお遊びへの成功確率も上げられるといえるかもしれません。

「NISAに追加投資をするか。」などと将来への備えも増やしたりできるかもしれません。

などというように、減税で本当にお金が浮くのであれば、消費者にとっては願ったり叶ったりな政策だといえるでしょう。


飲食店の資金繰りは注意しなければならない


「食料品消費税ゼロ」ということで、支出が抑えられる感がある業種は飲食業だといえます。

「いままで108万円で仕入れていた食材が100万円で仕入れることができる。」ともなるので、消費税分の支出が抑えられたことにより資金繰りに余裕ができるものでしょう。

たとえば、税込み年商3億円の飲食業で原価率が30%で経営していたとすると、

食材費9,000万円⇢8,333万円 

となるので「約667万円分経費が抑えられる。」ともいえるでしょう。

すると「浮いたお金で役員報酬を増やそう。」と考えたりもするかもしれません。

「今期は、預金通帳にお金が貯まっていく。」とも感じたりするかもしれません。

とはいっても、年商3億円である飲食業の消費税の計算式というのは、

売上で受け取った消費税 - 経費で支払った消費税 = 国に納める消費税

となるのです。

なので「浮いたように感じる消費税分の金額は、経費の支払時に支払っていないので、決算の際に国に支払う。」となるといえるのです。

上の事例であれば「売上は前期と変わってないのに、決算で支払う消費税の金額が667万円も前期よりも多くなる。」といえます。

だからか「今期の消費税多くない?」

「税理士さんの計算間違ってない?」

「使っちゃってお金ないんだけど。。。」という資金繰りに慌てることにもなりかねないといえるかもしれません。


「食料品消費税ゼロ」が実現したら飲食業から顧客は減る


「食料品消費税ゼロ」といった政策が実現された場合。

少なくない消費者の方はこう考えるでしょう。

「スーパーで食材を買ったり、惣菜を買ったら、消費税がゼロになってお得になった。」

「だけど、飲食店で外食をするといままで通り消費税分も支払わなければならない。」

「だったら外食を控えたほうがいいよね。」

といった事態は想定されるものです。

なぜなら「ひとは消費者側に周ると賢くなるから。」だといえます。

飲食業界というのは、

「売上はコロナ前を超えているけど、実は顧客数がコロナ前未満なんだ。。。」といった状態が続いていることは実感しているものでしょう。

「単価アップで売上は増えているように見えるけど、夜の顧客数は明らかに減っている。」と。

なので「食料品消費税ゼロ」ともなると、さらなる顧客数の減少によって飲食業の売上減少は想定されるものです。

「食料品消費税ゼロになると決算の際に消費税の納税金額は増える。」

といったことはシミュレーションできるものですが、顧客数の減少というのはなかなか想定できないものでしょう。

だからか「食料品消費税ゼロ」は、飲食業にはマイナスの影響があるといった想定はしておいたほうがいいといえます。

「それだったら社会保険料を下げて、可及的速やかに高齢者世代への仕送り額を減らそうよ。」という政策のほうが社会変革は起きる政策だといえるかもしれません。