税務調査では、従業員や税理士などから預かる源泉所得税も確認されることになります。
なので、源泉所得税の取り扱いにも常日頃から注意をしていきましょう。
給与や報酬からは源泉所得税を天引きしなければならない
税務調査では「給与から適正な源泉所得税を天引きしているのか。」といったことが、確認されることになります。
また、税理士などの士業の報酬に対しても源泉所得税を天引きしなければなりません。
なので、士業などの専門家に仕事を依頼する場合には、
「源泉所得税はどうなっているのか。」を常に注意すべきだといえるでしょう。
さらに、外注費として源泉所得税を天引きしていない外注先の人間を「実質的には雇用している」と判断されてしまうと、
「源泉所得税の徴収漏れとして、不納付加算税などの追加の支払い。」も増えてしまうので、
源泉所得税に関しては常にアンテナを張っていなければならないといえます。
その不納付加算税は、原則的には納付すべき源泉所得税の10%となりますが、税務署に指摘される前に納付した場合には5%となります。
もし、納付を忘れていた場合には、
「税務署に指摘される前に納付をしたほうがダメージは少なくなる。」ので、早めの支払いをしましょう。
源泉所得税の支払日には注意する
従業員や税理士などの士業から源泉所得税を預かった場合には、
「原則としてその預かった月の翌月10日(休日・祝日の場合にはその翌日)まで。」に支払わなければなりません。
その他には、特例として半年分をまとめて支払うことのできる特例があります。
この特例は、従業員数が10人「未満」である事業者の場合に、
税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書。」というものを提出すると適用されます。
この申請書を提出すると、
- 1月から6月分までに預かった源泉所得税の支払期限が、7月10日
- 7月から12月分までに預かった源泉所得税の支払期限が、1月20日
となるので、「毎月の支払いを忘れそう。」ということであれば、
「申請書を提出しておく。」というのも、ひとつの手だといえます。
給与か外注費かには注意すべき
税務調査における源泉所得税といっても、
「従業員や税理士などの士業からの天引き漏れ。」といったことは、実際のところそれほど多くはないといえます。
なので、源泉所得税の税務調査で大きな論点となるのは
「業務委託をしている外注先が実質的には従業員ではないのか。」
という点を、税務署の調査官も確認しているのです。
たとえば、建設業などの一人親方や美容室などの業務委託はこのような、
「外注費か給与か。」といったことに気をつけなければなりません。
事業者としては、依頼をした仕事を現場で完成をしてもらうということであれば、外注費としてもそれほど大きな問題にはならないといえます。
しかし、その外注費の計算が、
「独立採算の請負方式ではなく出勤による日数計算・時間計算となっている場合。」には注意が必要です。
業務に必要な道具類などを事業者本人が用意し、
「外注先の人間はただ現場に出て行く作業時間だけで経費負担がほとんどない場合。」
には、外注費ではなく給与と指摘されることも起こりえます。
もし、このように税務調査で給与だと指摘されると、
「外注費にも源泉徴収が必要。」
ということになり「不納付加算税10%と合わせて過去3年分の追加納税。」ということもになってしまいます。
また、外注費が給与とされてしまうと「消費税」に関しても追加支払いが必要になります。
なぜこのようなことが起こるのかといえば、
「その外注先が確定申告をしておらず、所得税や住民税の支払いをしていないから。」だとも言われています。
「外注先が確定申告をしているのかどうかなんて知らないよ。」
と思われるかもしれませんが、その責任は発注者である事業者に負わされることもあるのです。
外注費の要件を整えておく
給与か外注費なのかということには、税務調査での指摘を受けないために厳格な運用をすべきだといえます。
外注費として認められるためには、
- その業務を他人に代替えさせられるか
- 作業時間や作業内容を拘束されるか
- 材料や器具の負担はあるのか
- 業務瑕疵による賠償責任はあるのか
といったようなことが判断となります。
もし、このようなことを発注者である事業者が負担していれば、
税務調査では「給与」だと指摘されることになり、源泉所得税の天引きが必要になるといえます。
なので、外注費とするためには、その外注先から「請求書を貰い、材料代や器具代を負担させる。」ということを徹底していきましょう。
これらに関することを安易に考えていると、
「外注費ではなく給与だ。」という指摘を税務調査で受け、高額な源泉所得税や消費税の支払い負担が増えるといえます。