税務調査のために「あえて税務上のミスを残しておく。」というお土産。
そのようなお土産を特に用意する必要はありません。
税務調査のためにお土産を用意しておくべきか
税務調査を行う調査官の人事評定のひとつには、
「税務調査での実績。」が考慮されるといわれています。
そのような事情を勘案して、納税者のほうから「不正をしていました。」と伝えることで、
調査官の心証を良くし「手早く税務調査を終わらせよう。」
と、あえて税務調査で指摘される事項をつくる「お土産を用意する。」という話があります。
しかし、税務調査は犯罪捜査とは異なり行政指導の一環になります。
なので「お土産があることを自白」したからといっても、税務調査が軽くなるとはいえないものです。
お土産を用意しても調査は早く終わらない
税務調査の件数は、国税通則法の改正以降減少傾向にあります。
それでも、調査官は毎月数件の税務調査を抱えており、
「1件あたりの調査を効率的に行ないたい。」と考えているといえるでしょう。
そのような事情を考慮して「お土産を用意しておけば調査が早く終る。」ということを考える気持ちは理解できます。
たしかに「なんとかして、不正を見つけたい。」と調査期間を長く取ろうと考える調査官もいなくはないといえます。
そして「調査期間が長いのに指摘事項を見つけられない。」と焦る調査官もいることでしょう。
なので、お土産をもらうと「ホッ」とする調査官もいるのかもしれません。
とはいっても、お土産を提示されても「それはそれとして、他もしっかり調べよう」と考えます。
自らお土産を用意し、それを自白する必要はないといえます。
お土産といっても調査官からすると「調べていけばどうせ発見できる内容。」だといえるでしょう。
指摘事項がないならないでいい
もし、税務調査の終盤になって調査官から「何か不備事項はありませんか。」
と聞かれるようなことがあった場合には、調査官もかなり焦っているといえます。
しかし、そのような場合でもお土産を渡す必要はありません。
税務調査はあくまでも、税務署組織とのやり取りになるので、
「調査官の成績のために。」というようなことを考える必要はないといえるでしょう。
税務調査というのは、受けている最中は担当者とのやり取りになるので、
「調査官との個人的な関係で何とかなる。」と考えることもあるかもしれません。
とはいっても、調査官は税務署という組織の一員でしかなく、税務調査というのは税務署組織とのやり取りになります。
なので「お土産を用意して調査官の心証をよくしておく。」と考えたとしても、効果的なものだとは言えないでしょう。
むしろ「お土産を用意しているような事業者なら、他にももっと不正が隠されているのでは。」
と考えられ、税務調査がさらに長引くといえるかもしれません。