「ある年だけ売上がバズった。」となったら平均課税での確定申告を検討してみましょう。
事業を営んでいるなら税金の申告は必須
個人で事業を営んでいるなら忘れてはいけないことが、税金の確定申告だといえます。
確定申告は前年の1月1日から12月31日までの収入や支出を計算して、翌年の3月15日までに行うものになるものです。
たしかに「確定申告は面倒だからやっていない。」ということでも、バレない場合もあったりはするといえるかもしれません。
「売上は100万円くらいだし。。。」ということで、確定申告をスルーしたくなる気持ちも理解できるとはいえます。
「103万円超えていなければいいんでしょ。」などと考えて。。。
ただ、事業を営んでいる場合には事業所得になるので売上が100万円前後だったとしても確定申告をしなければならない場合が大半だといえます。
「売上-経費」の金額が48万円以下なら基礎控除の範囲内となるので確定申告をしなくてもいいといえますが、
青色申告の届出(青色申告承認申請書)を提出している場合には確定申告をしないと青色申告特別控除が受けられないことにもなるので、必ず確定申告をする必要があると考えていきましょう。
変動所得に該当するケースがある
事業を営んでいると、
「売上が毎月一定していて見通しが立てやすい。」といったことは少数派だといえるかもしれません。
「毎月どころか年によって売上がバラバラ。」という事業も少なくないでしょう。
などというように、年によって売上の変動が激しいケースを変動所得と呼ぶといえます。
その変動所得は、事業所得や雑所得のうち年によって変動が激しいもので次のような所得をいいます。
- 漁獲やのりの採取による所得
- はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得
- 印税や原稿料、作曲料などによる所得
たとえば「去年までは全く売上がなかったけど、今年はビッグヒットして売上が爆上がり。」というミュージシャンや漫画家、小説家の方などは変動所得に該当する場合があるといえます。
このような売上が爆上がりの年でも所得税は超過累進税率となっているのでかなり高い税率(最高45%)となり、
毎年ほとんど同じ売上で毎年同じような所得になるひとと比較をすると、所得税の負担が過大になるケースがあるため変動所得としての平均課税を選択できるのです。
平均課税
「毎年一定の所得のひとと特定の年だけ爆上がりするひとだと、税金の負担に極端な差が出る。」となってしまうケースがあるので、平均課税といって特別な税金の計算方法を選択できるのです。
そのような変動所得の平均課税は、次の条件に当てはまる場合に受けられます。
①前年以前に変動所得がある場合
イ.その年の変動所得の金額の合計額が前年、前々年の変動所得金額の合計額の1/2に相当する金額(平均額)を超えている場合
ロ.変動所得の金額がその年の総所得金額(申告書第一表の「所得金額等」欄の合計)の20%以上であること
※その年の変動所得の金額が平均額以下の場合には適用なし
②前年以前に変動所得がない場合
変動所得の金額が総所得金額の20%以上であること
そして、平均課税の計算方法としては次のとおりとなります。
【計算手順】
(1) 調整所得金額に対する税額
(課税総所得金額 - 平均課税対象金額 × 4/5) = 調整所得金額・・・①
※課税総所得金額 ≦ 平均課税対象金額の場合には課税総所得金額 × 20%(1/5)
※平均課税対象金額=前年、前々年の変動所得平均を変動所得と臨時所得の合計から控除した金額
① × 所得税率 = 調整所得金額に対する税額・・・②
(2) 特別所得金額に対する税額
課税総所得金額 - ① = 特別所得金額・・・③
③ × 税率(② ÷ ①) = 特別所得に対する税額
(3) 合計税額 = (1) + (2)
ひとつの具体例として、ある年に売上が爆上がりして変動所得が3,000万円というケースだと以下のような計算式になるといえます。
(1) 調整所得金額に対する税額
3,000万円 × 20%(1/5) = 600万円
600万円 × 20% - 427,500円 = 772,500円
(2) 特別所得金額に対する税額
3,000万円 - 600万円 = 2,400万円
2,400万円 × (772,500円 ÷ 600万円) = 3,090,000円
(3) 合計税額
772,500円 + 3,090,000円 = 3,862,500円
なので、3,000万円の所得にかかる所得税9,204,000円(3,000万円×40%‐2,796,000円)よりはかなり低くなるといえるのです。