所得税の確定申告において厄介なことのひとつは、
「所得区分によって税金の計算方法が異なる。」といったことがあったりするといえます。
そんなNFTにおける所得税の所得区分について書いていきます。
NFTを作成して販売した場合
「渾身のアートをOpenSeaで販売しよう。」といったことを実践されている方もいるものでしょう。
このような場合には「NFTを有料で販売した(有償譲渡した)。」となるので、作成にかかった経費から販売した収入を差し引いた利益に税金がかかることになります。
その所得は、雑所得か事業所得に区分されるのです。
たとえば、雑所得に区分される場合には以下のような計算式となります。
雑所得の金額 = NFTの譲渡収入 – NFTに係る必要経費
雑所得にしても事業所得にしても税率は、所得金額(いわゆる利益金額)によって変わる超過累進税率となるので、所得税率は5%から45%までの幅があるといえます。
雑所得か事業所得になるのかは「NFTの収入だけで生活ができるか。」といったことをひとつの判断材料にするといいでしょう。
また、事業所得をメインとする個人事業主だったとしてもNFTの販売が必ず事業所得になるというわけではありません。
事業として税理士業を営むわたしが渾身のNFTアートを販売したとしても、その所得区分は雑所得となります。
このような「営む性質によって所得区分が異なる。」というのが、所得税法のややこしい部分だといえるかもしれません。
NFTを転売した場合
「じぶんの目利き力を発揮してNFTを転売していこう。」といったことを実践されている方もいるものでしょう。
それこそ「株の売買よりもNFTの売買のほうが儲かる。」といったことを感じていたりするものかもしれません。
このような場合にも、その転売で利益が出ているなら譲渡所得に区分されて税金がかかるものです。
そんな譲渡所得の計算式としては以下の通りとなります。
譲渡所得の金額 = NFTの転売収入 – (NFTの取得費+NFTの譲渡費用) – 特別控除額(MAX50万円)
このNFTを転売した場合の所得税は、株式を売買した場合の譲渡所得とは異なり税率は一律20.315%(このうち5%は住民税)とならず5%から45%の所得税がかかります(さらに住民税をプラス10%)。
なので「儲かった場合には株式投資よりも税金がかかる。」ということになるといえるでしょう。
買い物のついでにNFTを貰った場合
「推し活をしていたら景品でNFTを貰っちゃった。。。」ということもあるものかもしれません。
そのような際には「やったぜ。」と思わずガッツポーズをしたくなるものでしょう。
そんな嬉しい気持ちを吹き飛ばすかのように、
NFTを無料で手に入れた場合にも「経済的利益を得た。」ということで一時所得として所得税の対象となります。
その一時所得の収入金額は、無料で取得したNFTの時価ということになるのです。
ただ、そのNFTに交換する価値がないなどの時価を見積もることが困難な場合には、価値は0円となるので所得税はかからないことになります。
また、価値があるNFTの場合だったとしても一時所得というのは「50万円以内。」の金額であれば所得税はかからないことになるので、安心できるものかもしれません。