銀行融資を受けやすい決算書は「率」よりも「額」

銀行融資対応を考えるなら、決算書で目指すべきは「率」よりも「額」だといえます。



利益率よりも利益額


「ROEは8%超がマスト。」

「営業利益率は10%超がマスト。」といった話を聞いたことがあったりするものかもしれません。

「日本企業は外国企業と比べると稼ぐ力が弱い。」といったような。

たしかに、事業を営むなら利益率が高い領域を目指したほうがいいものです。

「時間と資金を投下したのに、それほど儲けられなかった。。。」というのは、利益率が低い場所で勝負をしているからです。

ただ、中小企業が銀行員から高い評価を得るには「利益率よりも利益額。」だと考えたほうがいいといえます。

「利益率10%だけど、当期純利益が1,000万円の会社。」と、

「利益率は5%だけど、当期純利益が2,000万円の会社。」であれば、利益額が2,000万円の会社の方を銀行員は評価するからです。

「なぜ。。。」といえば、利益金額が高い会社の方が銀行融資の返済原資となる金額が高くなるから。

なので「利益率よりも利益金額にこだわる。」として、事業を営んだほうが銀行員の態度も変わってくるものです。


売上増加率よりも売上高


「売上高が前期よりも10%上がり、年商が1億円の会社。」と、

「売上高が前期よりも1%下がり、年商が10億円の会社。」といった場合にも、銀行員は年商が10億円の会社を評価するものです。

たしかに、銀行員が決算書を預かって分析していく際には、

「おっ、売上が前期よりもいい感じに増えている。」といったような増収を評価したりするといえます。

とはいっても、銀行員というのは、

「融資実行の手間が同じであれば、より多額の融資を実行したい。」と考えているものです。

そして、売上高が大きい会社の方が運転資金も増えるので、銀行融資の金額も増やしやすいのです。

また「年商が大きい会社を担当していると、プライドがくすぐられる。」といったことが銀行員にはあったりするといえます。

「いま年商が〇〇億円の会社を担当しているんだ。」というように。

なので、銀行員にとっては「売上高が大きい会社の方が融資取引をやりやすい。」と考えて、売上高の増加率よりも売上金額の増加を目指したほうがいいともいえます。


自己資本比率よりも自己資本の額


「あの会社の自己資本比率は70%もあるから安泰だ。」

といったように、自己資本比率が高い会社のほうが潰れにくいような感覚もあったりするものかもしれません。

「銀行融資を受けやすくするためには、自己資本比率が20%以上欲しい。」とも聞いたりしたこともあったりするものでしょう。

たしかに、自己資本比率は高いほうが貸借対照表(BS)のかたちはきれいに見えたりするものです。

銀行員も「この会社はきれいにバランスしている。」などと感じたりすることもあったりするからです。

とはいっても「自己資本比率が70%で、自己資本が500万円の会社。」と、

「自己資本比率が20%で、自己資本が2,000万円の会社。」であれば、自己資本が2,000万円の会社の方を銀行員は評価するといえます。

ましてや「自己資本比率を上げるために、銀行融資を受けることは控える。」などとしていると、

「この会社は、どこの銀行も融資取引をしていないから、うちも手を出すのをやめよう。」

「もしかしたら、粉飾決算なのかもしれない。。。」などと銀行員も警戒したりするものです。

自己資本比率は、経営コンサルタント風の方々が重視したりするものかもしれませんが、銀行員にとっては高比率を求めていないといえます。

自己資本比率よりも、銀行融資などを適度に受けながら自己資本の金額を積み増していくバランスの取れた決算書を評価するからです。


まとめ


銀行員は「比率」よりも「金額」で会社を評価していると考えていきましょう。