「連帯納付義務」といって、他の相続人の相続税まで支払う必要があるといえます。
相続税には期限がある
相続が発生したときには「相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなられた日)の翌日から10か月目の日。」までに相続税の申告と相続税の支払いをしなければなりません。
なので、この期限には注意すべきだといえます。
たしかに、相続税には基礎控除といった相続税がかからない枠があるものです。
基礎控除額 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
また、配偶者の方は「最低でも1億6千万円まで。」相続税の支払いが非課税となる枠もあるので、相続税の支払いをしなければならないひとというのは少ないといえるかもしれません。
たとえば、2021年に相続税が課税となった割合は9.3%などと言われているので、多くのひとにとっては相続税の支払いがないことがほとんどだともいえるでしょう。
相続人が相続税の支払いが遅れた場合
とはいっても、かかる人には掛かってしまうのが相続税だといえるかもしれません。
そのような相続税の支払いがある際には、期限までに必ず支払うべきだといえます。
もし、相続税の支払いが遅れてしまうと「延滞税。」といった延長料金が加算されてしまうのです。
その延滞税は、
支払い期限の翌日から2か月を経過する日まで・・・原則として年「7.3%」
※ただ、2023年1月1日から2023年12月31日までの間は「2.4%」
支払い期限の翌日から2か月を経過した日以後・・・原則として年「14.6%」
※ただ、2023年1月1日から2023年12月31日までの間は「8.7%」
となっているので「銀行預金の利息よりは遥かに高い金利がかかる。」といえます。
また「相続税の申告が必要なのにそもそも相続税の申告をしなかった。。。」という場合には、無申告加算税も加算されてしまいます。
その無申告加算税は税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%。
ただ、期限後でも税務調査を受ける前に自主的に申告した場合は「支払った税金額の5%。」が加算ですみます。また、申告期限から1か月以内に申告した場合には無申告加算税が課税されないという特例もあります。
とはいっても、相続税の申告期限や支払いが期限を過ぎてしまうと金銭的なダメージは少なくないものでしょう。
他の相続人が相続税を支払わなかったにも支払う義務が発生する
「うちは相続税の申告も相続税の支払いも期限までに行なった。」という方がほとんどだといえるかもしれません。
にも関わらず「相続税を支払ったのに税務署から督促状が送られてきた。」ということもあったりはするものです。
「なぜ、相続税を支払ったにも関わらず督促状か来るのか。。。」といえば、
他の相続人の方が支払っていなかったために「連帯納付義務」ということで、ご自身に督促状が送られてきてしまったといえます。
相続税というのは「各相続人がお互いに連帯して納付しなければならない」というルールになっているのです。
なので「あなたは相続税を支払ったけど、あのひとが支払っていないからあのひとの分も相続税を支払ってね。」と督促状の意味として納付通知書が送られてきてしまうこともあるといえます。
この場合には「制限なく連帯納付の義務がある。」ということではなく、相続で貰った金額までという上限はあることになります。
連帯納付義務の限度額 = 相続した財産額 - 納付済みの相続税額
たとえば、2,000万円の財産を相続し相続税として200万円支払った場合には、
相続した財産額(2,000万円) - 納付済みの相続税額(200万円) = 1,800万円
となるので、1,800万円までを上限として他の相続人の方の相続税を負担することになるのです。
とはいっても「じぶんは相続税を支払っているのに納得できない。。。」と感じたりもするものでしょう。
ましてや、連帯納付義務の納付通知書には利子税や延滞税もプラスされた金額が書いてあるので、さらなる怒りが湧いてくることもあるかもしれません。
たしかに、税務署側も滞納している本人から取り立てる努力を最大限行っているといえます。
ただ、このような「じぶんのは支払ったのに連帯納付義務として、他の相続人の相続税を支払う可能性がある。」というのが相続税のルールなのです。
だからこそ、すべての相続人の方が相続税を支払えるように遺産分割をしたほうがいいものですし、相続人全員で同じタイミングで金融機関に相続税の支払いを行なうことを検討してもいいものかもしれません。