
そもそも「定期同額給与」とは?
会社を経営する際に気にしなければならない法人税の世界では、
原則として役員に支払う給与(役員報酬)は損金にできない(=経費として認めない)というのがスタートラインとなっているものです。
ただ、次のような「ルールを守った役員報酬は経費として認められる。」といえます。
● 定期同額給与
● 事前確定届出給与
● 業績連動給与
このうち、一般の中小企業がメインとするのが定期同額給与だといえるでしょう。
そんな定期同額給与は、次の3つの条件をすべて満たす役員報酬のことを言うものです。
① 支給時期が定期(主に毎月)
② 支給額が同額(原則、事業年度を通じて同じ)
③ 期首から3か月以内の変更など、認められたタイミングでしか変えない
なので、期首から1年間のあいだ「毎月○○円」を勝手に増減させないで払い続ける役員報酬なら経費として認めましょうという制度だといえます。
2人以上の役員がいるときの定期同額給与
2人以上の役員がいるときの定期同額給与は、
会社全体で判定していくのではなく役員ひとりひとりについて「要件を満たしているか」を見ていくイメージだといえるものです。
たとえば、会社に役員が3人いる場合「社長A、専務B、取締役C。」には、定期同額給与の判定は「1人ずつバラバラ。」におこなうことになります。
・Aの役員報酬は定期同額か?
・Bの役員報酬は定期同額か?
・Cの役員報酬は定期同額か?
といったように。
なので「社長Aだけ途中で増額してNGになったとしても、専務B・取締役Cまでも自動的にNGになるわけではない。」といえます。
そして「全役員、みんな同じ月額にしなきゃダメ」というものではなく、
「ある役員は50万円、ある役員は30万円」と役員ごとに額が違ってもOKだったりするものです。
ただ、各人について「毎月同額か・3か月ルールを守っているか」は管理する必要があるといえるでしょう。
手取りで定期同額給与にすることも可能
「毎月手取り50万円を貰いたい。」
「額面での50万円ではなく。。。」といったことを考えたりもするものかもしれません。
そんな「手取りで定期同額給与に合わせる。」といったことも役員報酬の定期同額給与として認められるといえます。
「支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの。」といった規定があるからです
(注)源泉税等の額とは、源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます。
なので「源泉所得税、住民税、社会保険料(健康保険・厚生年金)」を控除したあとの金額を決めて、定期同額給与とすることは可能のなのです。
「さらに交通費も引いた手取りを。。。」といったことは無理だといえますが、
「どうしても手取りで。。。」ということは、法人税法上ダメではないといえます。
ただ、わたしは「手取りで定期同額給与を。。。」といった社長は見たことがなく、ミスも起こり得るので「額面で定期同額給与を。」ということを推奨していたりするものです。