返金しただけで課税されることもあるのが贈与税

「預けたお金を返金してもらっただけ。」

といっても「贈与税」が課税されることもあるものです。



投資話は少なくない


「日本人の金融資産の大部分は預金が占めている。」

などといわれるように「それほど金融投資をしないのが日本人の特徴。」だとされています。

とはいっても「先物取引を開発したのは江戸時代の大阪だった。」といったことや戦前の日本人は投資好きだったともいわれているものです。

また「FIREを実現する。」などといって、株式投資や暗号資産への投資を行なう方も少なくはないといえるでしょう。

それでも預金には「流動性」といういつでも換金できるメリットがあるので、金融資産の大半を現預金で保有することは決して誤った金融戦略だとはいえないものです。

だからなのか多くの方は「金融投資なんて無縁な世界。」などといったことを考えているかもしれません。

ただ「簡単に儲かるよ。」などといった投資話というのは少なくないものだといえます。

たとえば、新宿や渋谷などのカフェに居ると、

「いま投資の勧誘をしてるっぽいなぁ。。。」などということを感じるものです。

そして、場合によっては「じぶんが投資の勧誘する側に回る。」ということもあったりするものかもしれません。


返金が損失の補填であれば贈与税となる


「絶対に儲かると思って投資の勧誘をしていたけど、信頼していた主催者に裏切られた。」

などといったような話をメディアなどを通して耳にすることがあったりするものです。

そのようなことが起きた際には、

「迷惑をかけた特に仲のいい人だけには、じぶんのお金で返金しよう。」などと考えることもあるものでしょう。

たしかに投資の勧誘をしていて資金を預けてくれた友人や知人は「このひとが言うなら。」と資金を預けたのだと思います。

なので「じぶんの資金で返金しよう。」と考えたくなる気持ちはわかるものです。

そして、実際に返金が行なわれれば資金を預けていた友人などは安堵するものでしょう。

「やっぱりあのひとは信頼できる。」と。

ただ「損失の補填。」としてお金を返金した際には、受け取った側が贈与税の支払いをしなければならないといえます。


贈与税は受け取った方が負担する税金


「あのひとから今回の投資話の損失補填として、お金を返金してもらった。」

という場合には、受け取った側が贈与税の支払いをしなければなりません。

そして、その贈与税の税率は金額によって異なり以下のようになっています。

たとえば、知人に2,000万円を預けていて「2,000万円分の補填としてお金を受け取った場合」には、次のような贈与税がかかることになります。

基礎控除後の贈与税の課税対象額 2,000万円 − 110万円 = 1,890万円
※贈与税は110万円までは非課税
贈与税の金額 1,890万円 × 50% − 250万円 = 695万円

ということになるので「695万円の贈与税」を受け取った年の翌年2月1日から3月15日までに、確定申告を行い支払いをしなければなりません。

なので「2,000万円の返金を受けた。」といっても、

実質的な返金額 2,000万円 − 695万円 = 1,305万円

ということになるのです。

返した本人は「きちんと預かった2,000万円返金したでしょ。」といったことを思われるでしょうが、

返金を受けた側としては「贈与税の確定申告や贈与税の支払いなどの手間を追うことになる。」ので踏んだり蹴ったりだということになってしまいます。

もしかすると「贈与というよりも損害賠償だから税金はかからないでしょ。」などと感じる方もいるかもしれません。

たしかに、損害賠償金としての返金であれば「所得税法上の非課税に該当する」ので贈与税がかかるということはないといえます。

今回挙げたようなことが「共同不法行為責任というような詐欺だった。」と認められれば、損害賠償となるので贈与税かかからないと考えられる場合もあるものです。

とはいっても、ただの投資仲介者から返金を受けた場合には、

「加害者が被害者に対して支払う見舞金」とはならず贈与税の対象となる可能性も低くはないといえるかもしれません。

「儲け話があるんだけど。。。」

などという話を受けた際には安易に乗らないということとともに、安易にひとを勧誘してはいけないものだといえます。

「善意で行なった返金だから。」

といっても、その行為に対して税金の対象となることがあるので注意すべきだといえるでしょう。